七月四日のアルビレオ_5 ページ12
「おめでとう」の言葉と共にぎゅっと抱き合ったその後で。布団に入ってからはお互い朝から仕事だからと、軽く手を触れ合わせるだけにとどめたのに。
剛士の体がこんなに熱いのは、多分、夏のせいだけじゃない。
「A」
短く名前を呼ばれるだけで、きゅ、と心が音を鳴らす。汗が滲むのも構わず、剛士は体をくっつけたままもう一度、くちびるを重ねてきた。
それだけじゃない。合間を舌でつたい、強引に割り込んでくる。せっつくように、かき乱すように、欲が欲のままぶつかるような激しさに、何かを考える余裕もない。
夏用の薄いパジャマに、剛士の熱がほぼダイレクトに伝わってきた。無意識に剛士の背中に腕を回し、さらに密着が強まる。その拍子に腰のあたりが擦れ合い、
「っ」
剛士は苦しそうに瞳を細め、熱い塊を吐き出した。
「……わり。やっぱ、我慢できねえ」
「ん、うん。我慢、しなくていい、よ」
剛士は少しだけ身を起こした。あちい、と首筋に浮いた汗を拭って、パジャマ代わりのTシャツを脱ぎ捨てる。
光源はカーテンの向こうからわずかに漏れる月明りだけ。なのにもう、それだけでちっとも直視に耐えなくて、わたしはもう一度剛士の首元に腕を回し、ぐいと引き寄せた。
ゼロに限りなく近いその距離で、射抜くような紅は夜の色にも負けず鮮やかで、力強い。
ああ、次で五回目だ。でもきっと、今日が続く限り、わたしは何度だってその言葉を口にするんだろう。
「誕生日おめでとう、剛士」
「ああ。……さんきゅ」
「ううん、こっちこそありがとう」
「何でだよ」
「なんでも、です」
は、と剛士はまた笑みを浮かべた。それから目を閉じ、くちづけを再開する。まるで剛士の熱が伝染ったみたいだ。体があつくてたまらない。かっかと火照っている。頭の芯まで蕩けてしまいそう。それでいい。それが、いい。体温が混じり合い、剛士わたしの境界がおぼつかなくなっていく。まるでひとつになるかのように。
――もしも。
もしも心が相手とのちょうど真ん中にあるものだとしたら、こうしてぴったり体をくっつけ合ったときは、どこにいってしまうんだろう。
その答えは多分、重ねた肌にズレて響き合う二つの鼓動が教えてくれている。
七月四日のアルビレオ
ありがとう。それから、言いそびれたけど。
これからも、よろしくね。
＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋
剛士くん、誕生日おめでとう！！
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雪村 百合 - まほしさん» いえいえ！私もクドイ事を指摘してしまったかと少し不安だったのですが、そういって頂けて良かったです。 なるほどアニメでは『野目』呼びがあったんですね。私もまだまだ勉強しなければいけませんね…。お返事ありがとうございました！ (2019年2月17日 11時) (
レス) id: 6a1ddaa5c5 (このIDを非表示/違反報告)
まほし(プロフ) - 雪村 百合さん» 細かなところまで目を通していただけてありがたい限りです。今後もよろしくお願いいたします。 (2019年2月12日 0時) (携帯から) (レス) id: 2cdb666f4d (このIDを非表示/違反報告)
まほし(プロフ) - 雪村 百合さん» コメントありがとうございます。呼び方に関してはネットで纏めてくださっているものを参考にしていますが、アニメでは「野目」呼びがあったようです。愛染くんのことなので時には名前で呼んでいるかもしれませんが。 (2019年2月12日 0時) (携帯から) (レス) id: 2cdb666f4d (このIDを非表示/違反報告)
雪村 百合 - 健十はメンバー全員の事を名前で呼んでたきがします！なので最後の健十のところは『野目』ではなく『龍広』かと…((へんな所にめをつけてしまいすいません…)) (2019年2月11日 14時) (レス) id: 6a1ddaa5c5 (このIDを非表示/違反報告)
トゥンクももたすトゥンク - あしゅは俺じゃくて僕の方がイメージしやすいし安心するwww (2018年11月27日 11時) (レス) id: a10801537f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まほし | 作成日時：2018年6月27日 20時
