《B-PROJECT》みじかいゆめ3

明日は明日のキスをする_2 ページ46

「……っ」

湧き上がった衝動に任せてぐいっと強めに胸倉を掴み、引っ張る。驚いたように目を丸くしたまま剛士の体が前のめりになって、ばさりと雑誌が床に落ちた音がした。

ちゅう、なんてそれっぽい音は一つも出やしないけど。
目を閉じてそこへ唇をぎゅうと押し付ければ、勢いが良すぎたのか歯が上唇にぶつかって、じんじんと痛みをあげた。

「……、おま」

はあ、と息を吐き出しながら零距離から数センチ間を開ければ、呆気にとられた剛士の顔が目の前にいるから、

「…どーだ、参ったか」

遅まきながらどきどきと鳴り出した鼓動に顔をしかめて、少しだけ見上げる形で剛士の顔に瞳を向ける。あれ、おかしいな。顔が熱くなってきた。自分から仕掛けておいてこんなの、かっこわるいよ。
剛士はぎゅっと唇を結んだ後、ふっと一瞬だけ視線を外して、

「煽ってんじゃねえよ」

大きな手がわたしの後頭部を捕まえた。そのまま数センチ離れていた距離が、ぶつかるようにしてゼロになる。さっき歯とぶつけた上唇はまだじんと少し痛んだけれど、それすらも何だか、甘く心地よい痺れへと変化していくみたいで。

まるで呼吸を奪われるような深い口づけは、さっきまで生返事を繰り返していた彼と本当に同一人物なのかと疑うほどだ。
少し体重をかけられたと思えば、自分でも驚くほどあっさりと後ろに倒れ込み、剛士の顔が真上に見える。

「…降参しても聞いてやらねえぞ」
「煽られ耐性低すぎでしょ」
「るせえ」

噛みつくようにまた唇を寄せてくるこいつが『キスの日』を意識しているのかなんてわかんないけど、…たまにはこんな日があってもいいんじゃない、なんて頭の片隅で思って、甘い口付けに、溺れていくのだ。


明日は明日のキスをする


だから、今日は今日のキスをしようじゃない、なんてね。


＋＋＋＋＋＋＋＋＋
キスの日、らしいので折角だから一本〜
剛士視点のプラスもありまして。

雑誌を読んでいたら突然横から胸倉を掴まれ「…っ」前のめった拍子に唇が押し付けられた「…どーだ、参ったか」至近距離で怒ったように照れるこの顔はさすがに…反則だろ「煽ってんじゃねえよ」仕返しとばかりに顔を挟み込みぶつけるように唇を重ね、「…降参しても聞いてやらねえぞ」 #Bプロプラス

夢書きには楽しい日ですね〜

指先から唇へ_1（明謙）→←明日は明日のキスをする_1（剛士）

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