ユアデイ・ホリデー!_1(剛士) ページ32
「おめでとうございます」
「あ?」
事務所の一室で打ち合わせをしていた私たちは、話がひと段落したところでコーヒーを入れて少し休憩を挟むことにした。コップに黒々とした液体を注いでテーブルに戻れば、さっきまで広げていた手帳が目に入って、そういえばと思いだすことがあったのだ。
ことりと二人分のコップを机に置いて、ぺこりと頭を下げてみる。
金城くんは随分と怪訝そうな顔でこっちを見て、コーヒーを手に取った。
「ほら、今日は金城くんの日だから」
「…お前は二か月先を生きてんのか」
「え?あ、いやいや。そういうわけではなく」
ちょうど二か月先といえば金城くんの誕生日、うんそっちも大事なんだけどね、と慌てて手を振って、「ほら」と手帳を見せる。
「五月四日で、ごーしの日」
「くだらねえ…」
はあと軽くため息を吐かれ、金城くんはコーヒーを口にする。「熱ぃ」「淹れたてですからね」べ、と冷ますために舌が出された。
「え、今までにありませんでした?そういうこと言われたりとか」
「一度たりともねえよ。大体、学生時代は大概この日は休みで誰とも会わねえことだって多かったしな」
「あー確かに、ゴールデンウィークですもんね」
わたしもコップを手に持ち、ふうふうと息を吹きかける。口を付ければじんわりと温かい苦味が口の中に広がった。
「まあ今じゃ、そんな長期休暇も関係ない生活ですけどね…」
「そんなもんだろ」
「いやーでも世間が騒いでるの見るとやっぱりこう、いいなあって思いますよね。学生時代が懐かしい」
なんて、あのころはブラックコーヒーも飲めなかったのに今じゃすっかりカフェインに染まってしまって。笑いながら言えば金城くんはふうんと相槌を打った。
「ちなみに今日コーヒーを淹れてきてあげたのもひとえに剛士の日だからです」
「恩着せがましい言い方すんな」
「明日からは自分で淹れてくださいね」
「お前ってどこまでもタレントと対等なマネージャーだよな」
ありがとうございますと答えれば、はあとため息が返ってきた。
「俺の日、つってもな」
「ネット上では割と広まってるみたいですよ。剛士の日で検索したら、ちょいちょい上がってきてます」
「誰が考えたんだよ、んなの」
金城くんの言葉に、「さあ…」と首を捻った。別にわたしたち事務所側が発信したわけでもなんでもない、自然発生的に浮かび上がってきた、彼の日。
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まほし(プロフ) - 彩乃さん» お返事おそくなりました(汗 イラストいただき、ありがとうございました!!おはなしも気に入っていただけてよかったです〜。良ければこちらこそ、またお願いします^^楽しみにしています! (2017年4月2日 17時) (レス) id: 98138b6672 (このIDを非表示/違反報告)
彩乃 - ふぁぁぁぁイラスト使ってくれてありがとうございます!!ヤバいです素敵です全然大丈夫です!!!!!!!!普通に嬉しいです。ありがとうございます〜!!私が想像してた通りというか、想像以上だったので嬉しいです…!!ありがとうございました…!!良ければまた描きたいです!! (2017年3月31日 17時) (レス) id: 6d74871b62 (このIDを非表示/違反報告)
まほし(プロフ) - B−PRO大好きおじさん(笑)さん» 最初からずっと…!ありがとうございます!!これからもよろしくお願いいたします。そして北門さんお誕生日おめでとうございますっ!! (2017年3月29日 22時) (レス) id: 98138b6672 (このIDを非表示/違反報告)
B−PRO大好きおじさん(笑) - みじかいゆめを最初からずっと見てます!!!倫くん誕生日おめでとう!! (2017年3月29日 15時) (レス) id: 69007943fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まほし | 作成日時:2017年3月26日 10時