アイ・ノウ_1(帝人:リクエスト) ページ45
それがわかった瞬間、頭が真っ白になった。それから、じわじわと喜びが湧きあがる。やがて真っ白な頭に一人、くっきりと浮かび上がってきた顔があった。
みか。
みかに言わなきゃ。
気付けば携帯電話を取り出して、人目につかない場所を探していた。キャンパスの隅っこにひっそりとベンチが置いてある。そこへ腰掛け、もう暗記してしまった彼の番号を鳴らした。
仕事中、かもしれないけど。
そんなこと気にしていられないくらい、みかの声が聴きたかった。
「もしもし?」
「みかっ……!!」
わたしの声に驚いたように、「どうしたんです、急に」と返事が返ってきた。
「あのね、わたし。受かって、たの」
嬉しくて震えながらそう言うと、みかは少しの間黙ってから、
「そうですか」
静かにそう言った。それからまた、言葉は無い。
「驚かないの?」聞くと、ええ、とみかは相変わらず澄ました口調で言う。
「合格くらい、当然だと思ってましたから」
「ええっ」
なんだか、思っていた反応と違っていて。あんなにも湧き上がっていた胸の中に苦いものが広がって行く。
「が、頑張ったんだよ、わたし」
「もちろん知っていますよ」
別に冷たいわけじゃない。声色は柔らかだし、仕事があるからと電話を切ることもしない。だけど、だからなんだか、じれったい。
「違うのっ」
ぽろりと、心の声が漏れ出た。
「そうじゃなくてっ」
「…Aさん?」
みかの声は、やっぱり優しかった。それでなんだか、泣きそうになる。
違う、なんで泣いてるんだろう。だってみかが、みかが思ってたより、あっさりしてたから。違うの、とさっきまでとはまた違う震える声で、小さく繰り返した。
みかを困らせたいわけじゃないのに。
わたしはただ、みかに。
頑張りましたねって。
すごいですねって、えらいですねって。
そう言ってもらいたかっただけなんだ。
「なによ、合格、くらいって…っ」
ばか、ばかみか。呟くと、ぽろりと一粒、涙が落ちた。
わ、わ。電話の向こうでみかの焦った声がする。
「そんな、いじけないでくださいよ」
「いじけてなんかないもんっ」
ちょっと怒ったようなわたしの声に、みかは「もう、貴女って人は」と呟いた。
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速水ヒロcv前野智昭love♪(プロフ) - 面白かったです!!ごうちん格好いい(*´∀`) (2018年7月10日 21時) (レス) id: 5e287a4c41 (このIDを非表示/違反報告)
織目亜華璃 - 帝人が!帝人が〜〜〜!ヤバイデス!!トゥンク!! (2017年4月29日 14時) (レス) id: cd6be38c23 (このIDを非表示/違反報告)
彩乃 - まほしさん» ですよね…!!はい、また携帯買ったらお知らせ致します(笑) (2017年2月27日 18時) (レス) id: 39f7ff3018 (このIDを非表示/違反報告)
まほし(プロフ) - 彩乃さん» Twitterって公式非公式いろいろ情報入ってきて楽しいですね。機会がありましたらぜひ〜^^ (2017年2月21日 23時) (レス) id: 98138b6672 (このIDを非表示/違反報告)
彩乃 - んんBプロプラス素敵ですね…!!!Twitterはまだ携帯持っていないので見るしかやってませんが、その内お話したいなぁ、とか…() (2017年2月20日 12時) (レス) id: 39f7ff3018 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まほし | 作成日時:2017年1月16日 13時