検索窓
今日:13 hit、昨日:11 hit、合計:184,695 hit

アイ・ノウ_1(帝人:リクエスト) ページ45

それがわかった瞬間、頭が真っ白になった。それから、じわじわと喜びが湧きあがる。やがて真っ白な頭に一人、くっきりと浮かび上がってきた顔があった。

みか。
みかに言わなきゃ。

気付けば携帯電話を取り出して、人目につかない場所を探していた。キャンパスの隅っこにひっそりとベンチが置いてある。そこへ腰掛け、もう暗記してしまった彼の番号を鳴らした。

仕事中、かもしれないけど。
そんなこと気にしていられないくらい、みかの声が聴きたかった。

「もしもし?」
「みかっ……!!」

わたしの声に驚いたように、「どうしたんです、急に」と返事が返ってきた。

「あのね、わたし。受かって、たの」

嬉しくて震えながらそう言うと、みかは少しの間黙ってから、

「そうですか」

静かにそう言った。それからまた、言葉は無い。
「驚かないの?」聞くと、ええ、とみかは相変わらず澄ました口調で言う。

「合格くらい、当然だと思ってましたから」
「ええっ」

なんだか、思っていた反応と違っていて。あんなにも湧き上がっていた胸の中に苦いものが広がって行く。

「が、頑張ったんだよ、わたし」
「もちろん知っていますよ」

別に冷たいわけじゃない。声色は柔らかだし、仕事があるからと電話を切ることもしない。だけど、だからなんだか、じれったい。

「違うのっ」

ぽろりと、心の声が漏れ出た。

「そうじゃなくてっ」
「…Aさん?」

みかの声は、やっぱり優しかった。それでなんだか、泣きそうになる。
違う、なんで泣いてるんだろう。だってみかが、みかが思ってたより、あっさりしてたから。違うの、とさっきまでとはまた違う震える声で、小さく繰り返した。
みかを困らせたいわけじゃないのに。
わたしはただ、みかに。
頑張りましたねって。
すごいですねって、えらいですねって。
そう言ってもらいたかっただけなんだ。

「なによ、合格、くらいって…っ」

ばか、ばかみか。呟くと、ぽろりと一粒、涙が落ちた。
わ、わ。電話の向こうでみかの焦った声がする。

「そんな、いじけないでくださいよ」
「いじけてなんかないもんっ」

ちょっと怒ったようなわたしの声に、みかは「もう、貴女って人は」と呟いた。

アイ・ノウ_2→←こたつんつん_2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (69 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
187人がお気に入り
設定タグ:B-project , 夢小説 , 金城剛士   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

速水ヒロcv前野智昭love♪(プロフ) - 面白かったです!!ごうちん格好いい(*´∀`) (2018年7月10日 21時) (レス) id: 5e287a4c41 (このIDを非表示/違反報告)
織目亜華璃 - 帝人が!帝人が〜〜〜!ヤバイデス!!トゥンク!! (2017年4月29日 14時) (レス) id: cd6be38c23 (このIDを非表示/違反報告)
彩乃 - まほしさん» ですよね…!!はい、また携帯買ったらお知らせ致します(笑) (2017年2月27日 18時) (レス) id: 39f7ff3018 (このIDを非表示/違反報告)
まほし(プロフ) - 彩乃さん» Twitterって公式非公式いろいろ情報入ってきて楽しいですね。機会がありましたらぜひ〜^^ (2017年2月21日 23時) (レス) id: 98138b6672 (このIDを非表示/違反報告)
彩乃 - んんBプロプラス素敵ですね…!!!Twitterはまだ携帯持っていないので見るしかやってませんが、その内お話したいなぁ、とか…() (2017年2月20日 12時) (レス) id: 39f7ff3018 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まほし | 作成日時:2017年1月16日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。