れっつオオカミ_2 ページ36
「…あ?」拍子抜けしたような金城くんの声が聞こえる。
「一回だけ、一回だけつけて具合を見させて。折角用意したんだから、もったいないでしょ?それに…絶対、似合うと思うの」
口調を優しく、弱々しく。切実な声で訴えれば、金城くんも声のトーンを下げ、静かに言う。
「…似合わねえよ」
「だからっ、それを判断するためにも見せてほしいの」
下手に出ながら、じり、じりと少しずつ金城くんに寄って行く。ん、ん…と金城くんはちょっと悩んでるような声を出していた。
「いいで、しょっ!」
「うおっ!?お、おまっ」
だけどまあ、付けたもん勝ちって奴ですから。
わたしは適度な距離までにじりよってから、金城くんに飛びついた。びっくりした顔でわたしの強襲を浴びる金城くん。
「おおー」
「Aってば、大胆」
端っこで傍観者どもの声が聞こえた。
「や、やめろ…っ」
「今だ!」
ぎゅっと金城くんの腰に抱き着いて、素早く後ろに尻尾を取り付ける。さすがに振り払うことはためらわれるのか、金城くんは身じろいだものの大人しく立っていた。ていうか、金城くん本当にいい体してるなあ、と触ってみて改めて思う。腰回りの細さと、固さが、すごい、いい感じ。
危ない、変態じみてしまうところだった。ぱっと離れて、驚いた顔のまま固まっている金城くんの腕を掴み、「さあ!」と声をかける。
「二人も行くよ、社長にお披露目よ!」
「お、ま、試しに付けるんじゃあ」
「決定事項だと言ったはずよ!!」
ぴしゃりと言い放つ。金城くんは「はあ!?」と声を荒げたけど、やっぱりわたしを振り払うような真似はしなかった。
「さ、剛士も可愛い狼さんになったことだし」
「愛染てめえ後でぶっとばす」
「社長のオッケーが出ちゃったら、ごうちんもうそれ取れないよね」
「…っ」
くそおおおお!!わたしに引きずられるようにして歩く金城くんの悔しそうな遠吠えが、事務所内にこだました。
「大丈夫、超似合ってるから。思わず惚れちゃうくらいかっこいいよ。さすがわたし」
「うるせえっ!!」
怒りすぎたのか、金城くんの顔は、どことなく赤い。
(おわり)
明るい話でバランスをとっていこうと思って。あの尻尾なんなんですかね…!
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速水ヒロcv前野智昭love♪(プロフ) - 面白かったです!!ごうちん格好いい(*´∀`) (2018年7月10日 21時) (レス) id: 5e287a4c41 (このIDを非表示/違反報告)
織目亜華璃 - 帝人が!帝人が〜〜〜!ヤバイデス!!トゥンク!! (2017年4月29日 14時) (レス) id: cd6be38c23 (このIDを非表示/違反報告)
彩乃 - まほしさん» ですよね…!!はい、また携帯買ったらお知らせ致します(笑) (2017年2月27日 18時) (レス) id: 39f7ff3018 (このIDを非表示/違反報告)
まほし(プロフ) - 彩乃さん» Twitterって公式非公式いろいろ情報入ってきて楽しいですね。機会がありましたらぜひ〜^^ (2017年2月21日 23時) (レス) id: 98138b6672 (このIDを非表示/違反報告)
彩乃 - んんBプロプラス素敵ですね…!!!Twitterはまだ携帯持っていないので見るしかやってませんが、その内お話したいなぁ、とか…() (2017年2月20日 12時) (レス) id: 39f7ff3018 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まほし | 作成日時:2017年1月16日 13時