おかしなkiss_1(悠太) ページ27
「僕だって、いつまでもコドモじゃないんだよ?」
いつもより低めの声音は、鼓膜の奥まで官能的に響く。甘いその響きは、わたしの自由を奪っていくようだ。
目の前の視界をふさぐ悠太くんの、どこか楽しげな表情から、わたしは目を離せない。
あれ、どうしてこんなことになったんだっけ。どきどきする鼓動に頭を痺れさせながら、わたしはこの状況の原因を思い出していた。
………
……
…
「Aちゃーんっ!お菓子たーべよっ」
コンコン、と部屋の扉をノックする音がしたので開けると、手にクッキーとマシュマロの箱を抱えた悠太くんが満面の笑みで立っていた。
はあ、とわたしはため息を一つつく。
「食べない」
「ええー、そんなこと言わずにさあ。ね、いいでしょ?」
短く拒否するも、「ねえねえ」としつこく食い下がってくる。ううん、いつものパターンだった。はあ、とわたしはもう一つため息をついて、「仕方ないなあ」と口に出した。
「とりあえず中に入って。いろんな人に見られたら面倒だから」
「やったー!!」
おっじゃまっしまーす、とスキップでもしそうな勢いで部屋に入ってくる。悠太くんはこうしてたまにお菓子を手にわたしの部屋へやってくることがあった。だから部屋の構造も大体知ってるし、遠慮もない。もともと遠慮はそんなにない子だし。
ていうか、担当アイドルを個人的に部屋に入れてるって知られたら、社長に何て言われるか…。それを考えると、頭が痛くなる。
さっきまでわたしが座っていたソファに当然のように座ると、机にお菓子を開け始めた。
「あー待って待って。わたしは食べるなんて言ってないよ」
「ええー?なんで食べないの?」
慌ててストップをかけると、悠太くんはきょとんとこちらを見つめてくる。その純真な瞳にちょっとたじっとなりつつも、毅然とした態度を取り続ける。
「今何時だと思ってるの?夜の10時だよ?こんな時間に糖分なんて取ったら、太る元でしかないでしょ」
「ええー、僕太ってないよ?」
「そりゃ若いから。わたしはもうそんな若くもないの。悠太くんと一緒にしないで」
といっても、20台前半ではあるんだけど。それでも愛染よりは年上だ。
わたしの言葉に、悠太くんはぷくっと頬を膨らませた。そんな可愛い顔してもダメだぞ。
「Aちゃん、ケンケンみたいなこと言って」
「愛染がわたしらみたいな大人女子と同じ思考回路なの。だからわたしはお菓子食べないから」
「折角持ってきたのにー!!」
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速水ヒロcv前野智昭love♪(プロフ) - 面白かったです!!ごうちん格好いい(*´∀`) (2018年7月10日 21時) (レス) id: 5e287a4c41 (このIDを非表示/違反報告)
織目亜華璃 - 帝人が!帝人が〜〜〜!ヤバイデス!!トゥンク!! (2017年4月29日 14時) (レス) id: cd6be38c23 (このIDを非表示/違反報告)
彩乃 - まほしさん» ですよね…!!はい、また携帯買ったらお知らせ致します(笑) (2017年2月27日 18時) (レス) id: 39f7ff3018 (このIDを非表示/違反報告)
まほし(プロフ) - 彩乃さん» Twitterって公式非公式いろいろ情報入ってきて楽しいですね。機会がありましたらぜひ〜^^ (2017年2月21日 23時) (レス) id: 98138b6672 (このIDを非表示/違反報告)
彩乃 - んんBプロプラス素敵ですね…!!!Twitterはまだ携帯持っていないので見るしかやってませんが、その内お話したいなぁ、とか…() (2017年2月20日 12時) (レス) id: 39f7ff3018 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まほし | 作成日時:2017年1月16日 13時