Marguerite【Taiga】 ページ9
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花占いって、知ってる？
自分が決めたいことだったり、知りたいなって思ってることを連呼しながら、花びらを一枚一枚むしっていく、簡単な占いのこと。
ひとつ何か具体的な例を挙げるとすれば、
意中の相手の気持ちを知ろうとして「 好き、嫌い、好き、嫌い… 」って繰り返すのが有名どころだと思う。
最終的には、花びらの最後の一枚を取る時にどれを言ったかによって、その答えが決まる…ワケなんだけど。
「 好き、…嫌い、 」
本屋に寄り道して遠回りした学校からの帰り、いつもと違って河川敷近くの道を通ると、
偶然にも、その花びらを用いた恋占いをやっている人を見かけた。
それをしていたのがもし知らない人だったら、可愛らしいことしてるなぁぐらいで通り過ぎたと思うけど、
座り込んでるその後ろ姿には見覚えがあって、思わず立ち止まってしまって。
「 ……、嫌い 」
そう呟いて固まったのを見る限り、どうやら最後の一枚に望んだ答えは来なかったらしい。
「 っあー…マジか、最悪 」
声を上げて頭を抱えると、少ししてそのまま後ろに倒れ込んだ。
河川敷に寝転がった彼と、道路から河川敷を見下ろす私。
見開かれた瞳と見事に視線がぶつかって、多分数秒ぐらい。
「 っ、！？……
「 …京本くん 」
何でここに、
ガバッと身体を起こして立ち上がると、焦ったようにそう聞いてくる。
「 何でって、たまたま、帰り道？ 」
確かにいつもより遠回りはしたけど。他に説明のしようがない。
「 …そ、っか 」
「 うん 」
暫くの沈黙の後、ねぇ、と小さく呟いた京本くんが顔を上げて、
さらりと揺れる黒髪の下の瞳と、また視線が重なる。
「 ……、見た？ 」
「 …うん。ごめん、見た 」
私の返答に彼は、あー、うん、だよね、って両手で顔を覆った。
衝撃的なことは色々とあるんだけど、
正直、私は今何よりも京本くんが私の名前をちゃんと覚えてることにビックリしちゃってる。
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作者名：朔×紺
x他1人 | 作成日時：2021年9月18日 9時
