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2人でよく行ったイタリアンのお店は 外装も内装もメニューも何も変わってなくて、まるであの時のままなんじゃないかと思ってしまう。
私たちの頼むものだって、あの頃のまま。
「こんなとこまで連れてきて今更なんだけどさ」
付き合ってる人とか好きな人、いるの？
遠慮がちに聞かれた言葉に軽く否定をして、聞き返すと同じ返事が返ってきた。
なんだか気まずくて、あの頃みたいに静かに目の前の料理を食べる。何話せばいいんだろう。
「ジェシーはあのお花屋さん、よく行くの？」
「わりとよく行くかな」
「Aはこの駅よく使うの？」
「引っ越してから初めて来た」
探り合うような、守り合うような会話。
お店を出て駅に向かって歩く最中、なんともいえない空気を破ったのはジェシーだった。
「Aと別れてすぐあの店に通うようになってさ、あの象牙丸の話とか全部してて」
「…うん」
「忘れらんなかったの、Aのこと」
「……」
「だから今日会えて嬉しい。」
「……あれから3回咲いたよ」
「…すごい」
「植え替えなきゃいけないぐらいすくすく育ってる」
「……そっか」
「お花が咲く度に、植木鉢見る度にジェシーのこと思い出してた」
「え、それって」
「すきだよ、ずっと」
立ち止まって小さな声の確認のあとに優しく触れた唇は懐かしくて。
キスの後に私の髪を撫でるのも、優しく微笑むのも何も変わってない。
彼のネクタイを少し引っ張って、20センチ以上の身長差をぐっと縮めて。
4年越しにまた、私たちの恋が始まる。
サボテン 『枯れない愛』
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作者名：朔×紺
x他1人 | 作成日時：2021年9月18日 9時
