06 ページ22
.
「バイト以外でも一緒に飯行ったりするようになってさ、仲のいい女友達が初めてできたって俺嬉しかったのよ」
「……うん」
「Aもそうやって言ってくれてたのも嬉しかったんだけど」
「……ごめん」
「俺はそうじゃないなって気付いて」
「そうって？」
「…ただの友達じゃないってこと」
盛大な勘違いなら恥ずかしい。
だけどそうじゃない気もしてしまって気持ちが忙しい。
「友達でいたいって思ってくれてるなら、その気持ちを大事にしようって思って言えなかったんだけどさ、」
俺ずっとAが好きだよ
ほろりと涙が頬を伝って、そしたらもう止まらなくて。
昨日流した涙と真逆の意味の涙。
そんな泣いたら俺喋れないじゃん、って文句言いながら涙を拭ってくれる彼の顔は優しくて、大好きな笑顔で。
「俺と付き合ってほしい」
「……はい、」
夢にも見れなかった、こんなこと。
好きだけど結局友達なんだと思ってた彼が私のことを好きで、ちゃんとそれをお互い伝えあって。
幸せってこういうときに使うんだろうなあ。
どうせ高地に会えるならちゃんとメイクしてきたら良かったな、前髪もバイト終わりでぺちゃんこだし。
いや、昨日泣いたせいでまだ腫れてる目、泣きすぎてもうぐちゃぐちゃの顔にバイト終わりで本調子じゃない前髪。
私のコンディション最悪だ、と気付いたら急に恥ずかしくなってベンチから立ち上がると「え、もう帰るの」ってびっくりしてる高地の声。
「忘れてたけど顔のコンディション最悪だから、こういう時はもうちょっと良い顔見せたくない？」
「何言ってんの、ばかじゃん」
すぐに立ち上がった高地に見えないように後ろを向いても簡単に振り向かされて。
「はいこっちむいて」
言葉とは裏腹に優しくて甘い、少し遠慮がちなキス。
真っ赤になった顔が見えないように、彼の首に腕を回してぎゅっと抱きついた。
いちご『尊重と愛情』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1621人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：朔×紺
x他1人 | 作成日時：2021年9月18日 9時
