花束にキスをして (ページ1)

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Cactus【Jesse】ページ1

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「おはよ」
「おはよ、A今日も出かける？」
「うん、そろそろ出る」

同棲して2年、私たちはもうとっくに破綻していた。
2年前に買ったダブルベッドはお互いがただ背中を向けて寝る場所になったし、キスやハグはおろか、忙しさを理由に会話だってほとんどない。

「じゃあ行ってくる」
「ん、いってらっしゃい」

同棲したては玄関まで見送りに来てくれてたのにな。なんなら「一緒に行く！」って聞かなかったっけ。
冷たい空気の流れる家にいる気になれなくて、ジェシーと休日が被る度に買い物に出かけるようになった。ひとりで。

「もう終わりなのかな」

冬の空にぽつりと呟いた言葉は妙に現実味を帯びていて、口に出した途端すぐそこにある未来のような気がして。

「どうするのが正解だったと思う？」

マンションの入口で寝てた猫に答えを聞いても教えてくれないし、何が正解かなんて誰に聞いてもわからない。

好きなんだけどな、とネガティブモードに入りかけた時、ふと昔おばあちゃんが言ってた言葉を思い出した。

『Aちゃんに彼氏ができたらね、その人にお花の名前を教えなさい。お花は毎年咲くからね』

まだ恋愛を知らなかった頃に聞いたこの言葉。
当時は意味も、元々は誰が言ってたのかも知らなかったけど今ならわかる。

別れたあとに思い出してもらうため。

別れたあとも、彼の心の欠片でいるため。

今はそう解釈してる。
実践するなら今？

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