傍にいたい.3 ページ4
しまった、と思う。これは言う予定じゃなかった。
え、と表情を固まらせた弔さん。
でも一度こうなってしまうと、口は勝手に動く。
｢……中途半端じゃなくてね、ちゃんと弔さんの傍にいたいの｣
途端、弔さんがこっちに来る。
来たと思ったら私の頭を顔に押し付けるようにして、強く抱きしめた。
猫さんのぬいぐるみが音を立てて落ちる。
｢ごめん、俺はちゃんと傍にいるから｣
弔さんの腕の中。
暖かくて、冷たくなくて。
失って穴の空いた何かが、埋められていくような感覚。
安心する。
ああ、私は今──生きているんだなと思う。
だから私が、私の力で。
ずっと"この場所"にいるために。
｢私、ちゃんと弔さんの傍にいたいの｣
｢…うん｣
｢弔さんが傍に置いてくれるから、じゃなくて……
私の意思で、ちゃんと。傍にいられるような相応しい人になるから……｣
｢うん｣
続きを促すように、優しく言う。
そんな顔、他の人には中々見せない。
……抱きしめられてるから、私も見えてないけど。
でもなんとなく、どんな表情なのかわかる。
｢だから……私が横に並ぶまで──待ってて｣
弔さんの背中に手を回す。せめてもの意思表示に、強く抱き返した。
いつまでも隣にいてもらうだけじゃ駄目だ。と思う。
『先生』の一件があってから尚更思う。
この背中に置いていかれることがないように。
ちゃんと──横に並んで。
傍にいるために。
｢わかった、待ってる｣
そう言って抱きしめるのをやめて、そっと頭を撫でた。
そんなことをされてしまっては、もう。
……なんで怒っていたのか、忘れてしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 999人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「ヒロアカ」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
漱(プロフ) - ミリイ(灰崎信者)さん» リクエストありがとうございます！なるべく早く書きます！ (2018年8月19日 20時) (
レス) id: 7bc15f0ad8 (このIDを非表示/違反報告)
漱(プロフ) - (っ･ω･)っ.｡.:*･ﾟていっさん» 暖かいお言葉ありがとうございます！もう少しだけ続けることにしましたのでよろしくお願いします…！ (2018年8月19日 20時) (レス) id: 7bc15f0ad8 (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - ステイン様に溺愛されたいです (2018年8月18日 21時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
(っ･ω･)っ.｡.:*･ﾟていっ(プロフ) - 引退しないでくださいぃ〜｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡あなた様の小説が大好きなんです！これからも書き続けてください！m(_ _)m (2018年8月6日 10時) (レス) id: bca02744cb (このIDを非表示/違反報告)
ミラ - お返事ありがとうございます*><*デク君のピュアさと勇気ある行動のギャップいいですよね (2017年8月18日 23時) (レス) id: 8d82904fc2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：漱 | 作成日時：2017年7月18日 19時
