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朝、満員電車。
人に押し押されぎゅうぎゅうと詰め込まれ、息苦しい。ようやく慣れてきた電車通学だが、やはり朝の通勤通学ラッシュはキツイものがある。
痴漢なんだか痴漢じゃないのかわからないくらい人と人との間に隙間がなく、ピッタリくっついている。パーソナルスペースが欲しい。
運良く開かない扉の方へ寄れたので、扉に体重を預けて寄っかかる。それでも押し潰されそうになるのだが。どこかで体を安定させられるだけマシだ。個人的に、吊革は腕に血が巡らなくなるような感覚が好きじゃない。
ふと隣を見ると、女の子が同じようにげんなりとした表情で扉に寄り掛かっていた。
制服は、雄英の近くにある名門の女子高のもの。整った顔立ちだが、なかなか厳ついヘッドホンをしている。
──間違えようもない、昨日のあの子だ。
こちらには気づいていないようだが、僕は本を返したい。しかしこの満員電車の中ではそれも無理だろう。
どうしようかな、と扉にもたれかかる隣の彼女をちらりと見やる。
「……？」
何やら様子がおかしい。さっきと表情が違うというか。確かにさっきまでもげんなりはしていたのだが。
何かを我慢しているような、嫌がっているような？顔色が悪い。気分でも悪いのだろうか。
僕のリュックかなにか当たっているだろうか。
いまいち原因がわからず、首をかしげた瞬間、袖を引かれた。くい、と小さいものだが、すぐに気づいた。彼女が引いたのだ。
視線を向けると、今にも泣きだしそうな顔でこちらを見上げていた。顔は真っ青。なにかこらえるように唇を噛んでいて、目が会った瞬間更に強く袖を握られた。
──何かある。
──助けを求める顔をしてる。
そう思って辺りを見回して、すぐに気づいた。
痴漢、だ。
明らかにおかしい手の動きをしている。考える間もなくすぐにその腕を掴んだ。ギリギリと力を込めれば、すぐ近くで悲鳴が上がる。
「あなた、何やってるんですか」
「……っ、ちが」
「何が違うんですか？こんなことして、」
そこまで言って、また袖を引かれた。彼女は、首を横に振る。
「……？」
「……1回、降りるから。……もう大丈夫」
どうやら彼女は、次の駅で1度降りるつもりらしい。犯人と二人で。血の気の失せたような顔をして、まだ少し震えているのに。
考えるより先に、口を開いていた。
「僕もついてくよ」
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漱(プロフ) - みかんさん» コメントありがとうございます！少し語感が悪かったので返させていただきました！デク君落ちの小説少ないですよね！更新頑張らせていただきます！ (2018年8月21日 23時) (
レス) id: a1b019c15f (このIDを非表示/違反報告)
みかん - あれ？題名代わりました？緑谷くん落ちの作品が少なかったので、ありがとうございます。これからも更新頑張ってください！楽しみにしてます！ (2018年8月21日 21時) (レス) id: 4c9134da1a (このIDを非表示/違反報告)
漱(プロフ) - みかんぽんずさん» コメントありがとうございます！とっても嬉しいです！更新頑張ります！ (2018年8月20日 16時) (レス) id: 7bc15f0ad8 (このIDを非表示/違反報告)
みかんぽんず - 序盤ですが、とっても素敵です…！緑谷くんと夢主ちゃんが今後どうなるのか、ドキドキです！（笑） (2018年8月20日 10時) (レス) id: ebb094bbec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：漱 | 作成日時：2018年8月18日 20時
