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公共の場での個性の使用は原則禁止。そう言うと、私の個性はどうなんだろうと思うけれど、制御できないのだから、仕方がないと思う。使ってるかどうかなんて、他の人にはわからないわけだし。
「Aちゃんは危ないから下がってて」
『とりあえず110番、それから──』
私は出久くんの言葉に頷きながら、心の声を聞く。少し駆けて、エレベーターの前まで行ってから電話をかける。
「あ、あの、もしもし」
なるべく声は出さないようにして、要件だけを手短に伝えて。すぐに来てくれるそうで、ほっと胸を撫で下ろす。
──出久くんは、大丈夫だろうか。
なんとなく嫌な予感が胸をよぎって、気づけば走り出していた。
＊
Aちゃんは自然に行けたけれど、ここからどうすれば良いのだろう。あの女の子が人質に取られている以上、迂闊に動けない。そもそも仮免を持っていない僕では、個性も使えない。
女の子は可哀想なくらいガタガタ震えているし、男はちょっと普通じゃない。男は女の子の首を掴んでいる。女の子が苦しそうに呻いた。
「どうしてこんなこと……」
「あ？お前に教える義理はねーだろ。」
ああ、でも、と男が言う。
「よく考えたらお前にちくられたせいで俺の人生パァになっちまったんだし、ここで殺っちまってもいいのか？いいよなぁ、よし、そうしよう。ついでにこのガキもここで殺しちまおう。」
「っ、やめろ！」
ニヤニヤと男が笑う。
「じゃあ両手を上げてそこに立てー、いいか、動くなよ」
嫌な予感がする。何とか、なんとかしなくちゃ。
でもまだ、個性が上手く使えない。こんな場所で、女の子も、Aちゃんもいるのに。
「…………」
「よし、いい子だ」
言われた通りに手を上げる。
男はポケットから折りたたみ式のナイフを取り出すと、まるでダーツでもするかのように、素振りを始めた。
「刺さるかなぁ、いや、刺さるか、お前、動くなよ、絶対だぞ」
素振りをする手を止めた。
「5回、5回受け止めたらこのガキ解放してやるよ」
ごめん、Aちゃん。なんとなく心の中でそう謝る。なんとなく彼女の笑顔がもう一回見たくなってしまって。
──会いたいな
ぎゅっと目を閉じた。
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漱(プロフ) - みかんさん» コメントありがとうございます！少し語感が悪かったので返させていただきました！デク君落ちの小説少ないですよね！更新頑張らせていただきます！ (2018年8月21日 23時) (
レス) id: a1b019c15f (このIDを非表示/違反報告)
みかん - あれ？題名代わりました？緑谷くん落ちの作品が少なかったので、ありがとうございます。これからも更新頑張ってください！楽しみにしてます！ (2018年8月21日 21時) (レス) id: 4c9134da1a (このIDを非表示/違反報告)
漱(プロフ) - みかんぽんずさん» コメントありがとうございます！とっても嬉しいです！更新頑張ります！ (2018年8月20日 16時) (レス) id: 7bc15f0ad8 (このIDを非表示/違反報告)
みかんぽんず - 序盤ですが、とっても素敵です…！緑谷くんと夢主ちゃんが今後どうなるのか、ドキドキです！（笑） (2018年8月20日 10時) (レス) id: ebb094bbec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：漱 | 作成日時：2018年8月18日 20時
