011 ページ11
ばさりと何かが落ちる音で目を覚ました。
見れば、足元にノートが落ちている。
それが自分の持っていたものだと気づき、拾い上げようとすれば、掴む直前にそのノートは別の誰かに拾い上げられてしまう。
｢もう、本当に、仕方の無い人ですね｣
困ったように笑う、繰越Aの姿がそこにあった。
｢……お前、どうして｣
｢どうせ、思い出しているんですよね、私のことも、ここのことも、今までの事も。｣
｢……ああ。｣
もう、何度も繰り返している。
それを覚えている、いや、"今回は"思い出した。
｢……ちゃんと説明します。一番最初に出会った所、覚えてますか？｣
答えない、ただ、迷わず一つの場所に向かったことで、Aはまた困ったように笑って見せた。
駅のホームのベンチに並んで座る。
蝉の声も、騒がしい環境音も、けたたましいブレーキ音も、何も聞こえない。
風のそよぐ音だけが聞こえる。聞き慣れすぎて、それしか聞こえない日々を思い出して、ぎゅっと拳を握った。
私は色々と整理しながら、ゆっくりと口を開く。
……何から、話せばいいのか。
｢ええと、まずは──｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 81人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
漱(プロフ) - (っ･ω･)っ.｡.:*･ﾟていっさん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けたのであれば何よりです！この作品も近いうちにまたお目にかかることが……ある！と思います！頑張って書きますね！ (2018年10月10日 13時) (
レス) id: 7bc15f0ad8 (このIDを非表示/違反報告)
(っ･ω･)っ.｡.:*･ﾟていっ(プロフ) - 突然すみません!このお話大好きです!!アトガキやっぱりカゲロウデイズ意識だったんですね!答え分かってスッキリしましたw良ければこの後のお話も読みたいなぁ〜なんて…((あつかましい (2018年10月9日 23時) (レス) id: bca02744cb (このIDを非表示/違反報告)
漱(プロフ) - 名無しのゴン子さん» コメントありがとうございます！お褒めの言葉、大変恐縮です！ありがとうございます！ (2018年1月31日 21時) (レス) id: 7bc15f0ad8 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのゴン子(プロフ) - とても作品素晴らしかったです！号泣しちゃいました…ｗ定期的に読みに来ます！！！ (2018年1月30日 8時) (レス) id: 3314d11a46 (このIDを非表示/違反報告)
漱(プロフ) - 仮名杜竜桜さん» コメントありがとうございます！お褒めの言葉、大変恐縮です！アプリの方ですが、面倒くさいのもあって未だにブラウザからログインしている身でして……作品が消えるなんて話があるんですか……？お力になれず申し訳ないです！ (2018年1月17日 2時) (レス) id: a1b019c15f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：漱 | 作成日時：2018年1月14日 19時
