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｢……大丈夫ですか？｣
そんな声で目を覚ますと、駅のホームに倒れていた。
コンクリートが痛い。というか暑い。蝉の声がうるさくがなりたてる。
辺りを見まわそうと目を開ければ、視界に紺色と黒、赤が映り込む。
あ、起きた。と笑うのは、俺と同じか、一つ二つ下に見える女子。
｢……誰だ、お前｣
そいつは不思議そうに首をかしげた後、くすくすと笑う。
｢何笑ってんだ｣
｢……別に。あ、大丈夫ですか？怪我とか、してないですか？暫く目が覚めなくて、心配してたんですよ、カツキ先輩｣
｢お前、なんで俺の名前知って……｣
｢ごめんなさい、身元が分からなかったので学生手帳見ました。｣
俺の鞄を指さしながら嬉しそうに笑うそいつ。
｢あ、私はAって言います。
ふふ、と笑うそいつは、この辺りの中学校のセーラー服を着ていた。紺色に赤いリボン。胸下まで伸びた癖っ毛の、よくハネる黒髪が特徴的な女子。
伏せ目がちの琥珀色の瞳は、俺を見ては心底嬉しそうな顔をする。不思議だ。初めて会う筈なのに。
そいつを見てから、辺りを見回して気がついた。
｢ここは、どこだ。どうして誰もいねぇんだ｣
よく見知った駅。
帰宅途中にあるその駅には、気を失う前にはいたはずのほかの人達が忽然と姿を消していた。
最早この世界には自分とこの女しかいないのではないかと思うほどには、駅どころか、街全体には人気が無く、静かだった。
空は夕焼けのまま、蝉の声だけが聞こえない。
｢私も気がついたらここにいて、ええと、なんだかここには私と先輩しかいないみたいですよ｣
困りましたと眉を寄せるそいつ。俺の横でしゃがんでいたが、俺が立ち上がれぱ同じように立ち上がる。
｢ついてくんな。俺は元の場所に戻る｣
とりあえず駅から出ようとすれば、袖を掴まれついてくる。
｢せっかくですから協力しましょうよ！私もここから出たいんです！｣
｢うるせぇ｣
｢そんなこと言わないでくださいよ、先輩！なんて言われても私はついていきますからね｣
｢うるせー、勝手にしろ｣
やった。と笑う。クソ、なんなんだ。
このおかしな場所も、俺の他にいる唯一の人間がこいつってことも。
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漱(プロフ) - (っ･ω･)っ.｡.:*･ﾟていっさん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けたのであれば何よりです！この作品も近いうちにまたお目にかかることが……ある！と思います！頑張って書きますね！ (2018年10月10日 13時) (
レス) id: 7bc15f0ad8 (このIDを非表示/違反報告)
(っ･ω･)っ.｡.:*･ﾟていっ(プロフ) - 突然すみません!このお話大好きです!!アトガキやっぱりカゲロウデイズ意識だったんですね!答え分かってスッキリしましたw良ければこの後のお話も読みたいなぁ〜なんて…((あつかましい (2018年10月9日 23時) (レス) id: bca02744cb (このIDを非表示/違反報告)
漱(プロフ) - 名無しのゴン子さん» コメントありがとうございます！お褒めの言葉、大変恐縮です！ありがとうございます！ (2018年1月31日 21時) (レス) id: 7bc15f0ad8 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのゴン子(プロフ) - とても作品素晴らしかったです！号泣しちゃいました…ｗ定期的に読みに来ます！！！ (2018年1月30日 8時) (レス) id: 3314d11a46 (このIDを非表示/違反報告)
漱(プロフ) - 仮名杜竜桜さん» コメントありがとうございます！お褒めの言葉、大変恐縮です！アプリの方ですが、面倒くさいのもあって未だにブラウザからログインしている身でして……作品が消えるなんて話があるんですか……？お力になれず申し訳ないです！ (2018年1月17日 2時) (レス) id: a1b019c15f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：漱 | 作成日時：2018年1月14日 19時
