三十言目 ページ30
｢隣、いいかしら｣
麗日さんには少量と言われてしまったカレーを食べ終わった頃、正面の椅子が引かれた。
顔を上げると、そこに居たのは黒髪ロングの女の子と、ポニーテールの女の子。
｢自己紹介が遅れたわ。私は蛙吹梅雨。梅雨ちゃんと呼んで｣
｢私は八百万百ですわ、よろしくお願いします、Aさん｣
私は机の上に置きっぱなしにしていたスマホを手に取り、早速さっきのアプリを立ち上げた。
『梅雨ちゃんと、モモちゃん。よろしくね』
｢あら、便利なアプリね｣
けろっ、と蛙吹……梅雨ちゃん。
『教えてもらった』
｢あら、誰にですの？｣
爆豪さん。と打ち込んでから、読み上げボタンをタップする手が止まった。
ちらりと食堂の奥を見やると、談話室のようなところで他の男子生徒とソファーの上で寛ぐ爆豪さんの姿が目に入った。
大丈夫、聞こえない。
と、思う。
『爆豪さん』
そう言えば、二人は苦笑いをした。
｢爆豪ちゃん、Aちゃんの事お気に入りなのね｣
｢え、｣
思わず声が漏れて、誤魔化すように喉にコップの水を流し込む。
……どういうこと？
そんな訳ない、と思う。
｢私達からすれば珍しいですわ。爆豪さんがあそこまで人に優しいのは｣
『そうなの？』
私に対する対応で優しいのなら──爆豪さん、もっと人に優しくするべきだと思う。
｢そうね、やっぱ初めての時のアレで罪悪感でも感じてるんじゃないかしら｣
『初めのアレ？』
｢酷いこと言ったじゃない……声の事で｣
｢あ、 ｣
思わず声が漏れた。
でもそれは、
『慣れっこだから、全然気にしてないよ』
そう言うと、梅雨ちゃんがこちらへと手を伸ばす。頬をつねると、
｢駄目よAちゃん。それに慣れちゃ。｣
そう怒られる。
私はなんだか変な気分になりながら、コクリと頷いてみせた。
……そんな風に、怒ってくれる人なんて今までいなかった。ここに来てから、初めてのことが多いや。
梅雨ちゃんが私の頬から手を離すと、食べ終わって口元を拭き終わったモモちゃんが、
｢折角ですし、皆でお風呂に入りませんこと？
芦戸さんにも言われたのですけれど｣
そう言う。
梅雨ちゃんと麗日さんが良いねーと同調した。
それから、三人が返答を求めるようにこちらを見る。
なんだか気恥しくなりながら、画面をタップ。
『良いと思う』
──────
明日から26日までテスト期間なので
更新お休みさせていただきます！
すみません！
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漱(プロフ) - ナイトメアさん» コメントありがとうございますー！最高だなんて大変恐縮ですが楽しんでいただけたのであれば幸いです！ (2018年1月3日 21時) (
レス) id: a1b019c15f (このIDを非表示/違反報告)
ナイトメア(プロフ) - コメントするのは初めてなので、なんかおかしい所があるかもしれませんが…完結おめでとうございます。最高でした。本当に有り難うございましたぁあ！！これからも頑張ってください！！ (2018年1月3日 18時) (レス) id: bdeef1bdf0 (このIDを非表示/違反報告)
漱(プロフ) - 六久保さん» 御指摘ありがとうございます！！修正しておきました！！お褒めの言葉大変恐縮です！ありがとうございます！！頑張ります！！！ (2017年10月21日 19時) (レス) id: 7bc15f0ad8 (このIDを非表示/違反報告)
六久保(プロフ) - 四十九言目が二つありますよ！完結おめでとうございます！！もうほんっと最高でした！！これからも応援しています！！頑張ってください！！ (2017年10月21日 18時) (レス) id: c949df6efb (このIDを非表示/違反報告)
漱(プロフ) - まっちゃさん» ありがとうございます！修正しておきました！頑張ります！ (2017年10月16日 23時) (レス) id: a1b019c15f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：漱 | 作成日時：2017年8月24日 19時
