今日も私は本を読む【文スト】

出勤と怪我人 ページ10

私は急いで店内に足を運んだ。

『良かった……まだ誰も来てない。』

買ってきた果物を店の作業台の上に乗せる。


却説……、そろそろ本業に戻るとしようか。

まずは本の整理。

在庫の確認。

店内の掃除。

基本これだけ。


「Aちゃん、こんにちは。」

『おばさん、こんにちは。』

店の隣に住んでいるおばさんは毎日の様に店に来ては
本を読み漁り、気に入った本を何冊も購入して帰る。
要するにお得意様である。


「娘がね此処の本屋を気に入っててね、
また此処の本屋で本を読みたいって言っててね。」


物腰の良い隣のおばさんには病弱な娘さんがいる。


『娘さん、今も入退院を？』

「前ほど酷くはないけどね、あの時は本当Aちゃんに助けられたよ。」


あの時っていうのは今話すと長くなるので次の機会に。


『そうですか……。此処の古書店は娘さんの
御来客をいつでもお待ちしておりますから、安静に大事をとってください
とお伝えください。』

「いつもありがとうね。」

『いえいえ。』


すると倉庫からなにやら物音がした。

「……あら何かしら？」


私は倉庫の方に顔を出す。


『目……覚めましたか？』


「………。」

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