【合作】僕らに朝は来ない。 (ページ8)

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第8話 byベレッタページ8

｢ひーまーだー｣

ああああと適当に声を出す。
見張りに見られたけど気にしない。気にしてはいけない。

｢暇だぁ･･･とてつもなく暇だぁ･･････｣

漫画は知らないものばっかり、あまり興味が持てる内容でも無かった。ゲーム──と言ってもクロスワードパズルとかナンプレとかそういうやつだ。
生憎と私は数学は苦手なので漢字や言葉のクロスワードパズルだけ解かせて頂いた。時々見張りに言って新しいものを取ってきてもらっている。

脱獄したい

ここに来た無実の罪人はきっとみんなそう思っているのではないのだろうか。
つまらない生活。
味気ない料理。
そして、毎日聞こえてくる無実の罪人が処刑される声、音、空気。
時々漂ってくる、鉄臭いにおい。

自分で言うのもなんだが、私は結構運動神経は良い方だと思う。成績もそれなりに良かった。
このまま順調に進めば就職して家計を助けられるはずだったのに。
まぁ私がいない事で一人分の経費が浮くからそこは楽になったかもしれないが、罪人の親という扱いになってしまった親にはとても申し訳ない。

｢夜の国･･･思ってたより良い所じゃなかったなぁ～｣

なんて法螺を吹いてみる。

耳の下で2つに束ねた白髪をいじりながら床に寝転がる。
私は世間一般で言うアルビノというもので、髪や肌がかなり白い。目は赤というより灰色がかった青って感じだけど。

耳をすますと様々な声が聞こえてくる。
何もかもを諦めたかのような掠れ声、無邪気な幼い声、歳の近そうな男子の声、気弱そうな女の子の声。

みんなみんな一緒なんだ。
何もしてないのに捕まえられた無実の罪人なんだ。

無実なんだ。
復讐心なんて持ってないんだ。
それなのにこんな不当な扱いを受けている。

少しくらい反逆したって良いじゃないか。

｢いつかな～･･････｣

いつか、ここの人達全員で脱獄出来たら。
もしかしたら、それが当面の｢夢｣になるかもしれない。

｢全員｣で脱獄というのが大事な事なんだ。
誰一人欠けちゃいけない。

｢みんなで脱獄しよう、誰一人居なくならないように｣

まだ他の人達に会ってもいないのに、そんな気持ちが込み上げてきた。
不思議な事もあるものだと思う。

この｢夜の国｣ではいつ何が起きるか分からない。
眠ろう。
眠って体力を温存しよう。

瞼を閉じると、私は意外と早く闇の世界に誘われた。