第6話 byマレイ ページ6
里霧 刹那:事務員(里霧刹那は許可なしで大丈夫です)
つい、目頭を指で抑えてしまう。先程まで復讐心をもった罪人達の資料の確認及び追記をしていたからだ。
一応日付が変わる前までに獄長に提出をすれば問題はないが終えられるべき事は終わらせる。そして次するべきことへの時間に余裕を持たせる、それが俺の仕事での目標だ。
こんな夜の国と呼ばれる場所には徒競走のようなゴールだなんて存在しない。ただ、ただ任せられた責務を全うする事のみ。
それにもしも、あってはならぬが脱獄などが万一に成功したら、それはもう人生最大の失敗とも言えるだろう。
元よりもそれは「もしも」の話であって、ここのシステムに不備があるだなんてありえない話だ。
だから……大丈夫。だがしかし、唯一気にかけなければならないのは少し前に起きた一揆によって罪人共の手に少なからず武器は渡っていると予測される。
以前に、戦闘員として前線で活躍している者と後輩などからの多数の意見を元にまとめた資料を見るとやはり武器庫の備品に欠があったのだ。
ふいに事務室を叩く音が聞こえた。
「はーい、どぞー?」
「……今月の処刑は全て、終わったとのことです。それではまた」
一礼をしてまた出ていった彼は処刑人達の後輩であろうか?
だがしかし、処刑の統計に関しては俺はまったくの専門外である。
誰とまでは口にする必要もないのだが一言言えることは今現在この場でパソコンと向き合っている彼らではないのは一目瞭然の事。
そして当事者となるのは俺の向かい側の席の優秀だが不真面目な後輩だ。無論、こんな事を思ったのも彼がいないからだ。
しかし、こんなことも日常茶飯事になっているため、どうとも思うことは無い。
恐らく彼がいるであろう場所に足を早めながらも罪人の「助けてくれ」「神様……」などといった罪人達のくだらない嘆きを耳に入れながら、なんとも醜いのだと感じた。何が、無罪だ?ハーピーに「復讐心がある」と認識されたのならそれが正しいのだろう?
俺は、牢屋越しに居る罪人達に聞こえるか、聞こえないかの瀬戸際で
「後悔先に立たずって言葉、知ってるか?」
と固定した人物に投げかける訳でもなくそんな事を吐いた。
……世界は法律で出来ているのだ。法律があってこその美しい世界なんだと言う言葉は心に留めておきながら……
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カルク(プロフ) - 更新しました!! (2019年7月17日 8時) (レス) id: 46db662a70 (このIDを非表示/違反報告)
カルク(プロフ) - 更新させていただきます! (2019年7月17日 7時) (レス) id: 46db662a70 (このIDを非表示/違反報告)
nekoarisu(プロフ) - 更新させていただきました! (2019年7月16日 21時) (レス) id: 322193fd57 (このIDを非表示/違反報告)
nekoarisu(プロフ) - 更新させていただきます! (2019年7月16日 21時) (レス) id: 322193fd57 (このIDを非表示/違反報告)
味噌鯖 - しました! (2019年7月16日 15時) (レス) id: 9ffca39a54 (このIDを非表示/違反報告)
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