【合作】僕らに朝は来ない。

第40話 by雪峯そう汰 ページ40

side 久瀬翔太


無実かもしれない。と噂されている罪人達が最近、昼の間に集まる頻度が増えた。ほんの少し前までは各自の牢獄で不服そうに支給された物で遊んでいたりしたのに。
更に言っては何だが、態度などが以前とは若干異なるが数人いる。世間一般より演技や隠し事が下手くそな奴らだ。

(大方、脱獄か"夜の国"の占拠辺りだろ。
ここの"住人"の惨殺は反対する者もいるだろうし、なによりメリットが少ない)


世話役の仕事の一つである定期的な健康診断のカルテを書きながら小さなため息を溢すと、診断中の罪人がチラリとこちらを見た。こいつもその例の一人で、先程「何か変わった事はあったか」と、いつもの問診にしれっと混ぜて聞いてみると、ぎこちなく「何もない」と答えた。

些か、と言うか大分ガードが甘い気がするので、無実だと思わしき罪人には後々そこら辺の戦略や本当に無実なのかなどを聞くとして、まずは首謀者との接触を図りたい。


下手に接触して怪しまれては元も子もないし、今後動きづらくなる。どうしたものか、とまた一つため息を溢して、次に診る奴の名前を呼んだ。

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