【合作】僕らに朝は来ない。

第39話 by暁月 ページ39

side雨宮修

やっと里霧センパイから押し付けられた……いや､言い方が悪いか｡やっておけと命じられた仕事を終えて､これ以上押し付けられたらたまらんと逃げてきたところだ｡

流石にトイレとか言っておけばわざわざ追いかけて来ることもないだろう｡

抜け出してきたはいいものの､行く宛もなくぶらぶらと監獄内を歩き回っていると､罪人達の共用スペース・昼の間にたくさんの人が集まっているのが見えた｡

「ヘー｡何やってんだろ」

引き寄せられるようにふらふらとそちらへよっていけば､別に何かを企むために集合していたわけではないらしく､各々が自分の好きなことをしているようだと気がついた｡

面白いものが見られるかなと思っていた俺は少し残念になり､それと同時に昼の間に集まった罪人達への興味を失った｡

「何か面白いことでもないかな……」

いっそのこと脱獄かなんかが起こってくれた方が面白い｡“無実の”罪人による脱出劇｡

俺はそこまで想像してから上司の顔を思い浮かべた｡あの人のことだからきっと俺はその時は雑務を押し付けられて1人事務室で居残り状態になるな｡

それは嫌だと思うけれど､実際に脱獄なんて起こるはずがないのだからその心配も必要ない｡

「あーあ､つまんないなぁ……」

俺はあの上司の机の引き出しから失敬してきた(管理が甘いのが悪いと思う｡俺は悪くない)鍵を振り回しながらどこかに小鳥でもいないものかと探しに行くことにした｡その時には既に俺の頭の中から昼の間に集まっていた数多くの罪人達のことは､すっかり抜け落ちていた｡

里霧センパイに見つかるまであと数秒の時のことである｡

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