第34話 byアリス@リア狂さん ページ34
柊side
ざわざわとしていると、一人の男...いや、少年が前に出て話し始めた。
「昼の間にお集まりの罪人の皆様方。僕がノートをここに置いた張本人、結城遥と申します」
少年...結城さんは、小さくお辞儀した。
僕は不思議そうに結城さんをみる。なんでこんなに堂々としているのだろう?
少しぐらいおどおどしていてもいいはずだ。
だって、もしかしたら処刑されるかもしれないのだからっ!
「本日ここに集まってもらったのは、とりあえず顔合わせをしていただくためです。えぇ。まだ作戦を話し合うような段階にはありません。怪しまれてしまうのでね」
おちゃらけたように話す結城さん。
大丈夫なのかなぁ....?心配だ...
「すみませんね。真剣ムードを出したあとには全員処刑が待っていますので」
そう小声でささやく結城さん。
そうだよね、処刑があるから..........やだなぁ...
きっとこの人は、信用できる。信頼できる人だ。
でも、どこか道下のような人だ。まるで仮面をかぶっているようだ。
何か、考えがあるのだろう。僕が勝手に踏み込んではいけない。
赤の他人なのだから。
「で、ここからが本題なのですが、皆さんには毎日のように昼の間に来ていただきたいと思います。理由としては、昼の間には人が多く集まる、という状態を作ることによってそれが当たり前だと思わせたいのです」
人差し指をたてながら結城さんは、言う。
非日常を日常に。
「そうすることによって夜の住人達が疑いを持ちにくくなるので計画がバレる確率が低下します。昼の間では自由にしてくださって構いません。話し合いは隙をぬって少しずつ行っていこうと思っています」
自由、自由...どうしたらいいのかな?
そんなことを悶々と考えながら、話を聞く。
結城さんはちらりと見張りがいつもいる場所を見る。
見張りが戻ってきそう..........
「それでは本日はここらで終了と言うことで。勝手で申し訳ないですが、お疲れ様でした」
結城さんはそう締めくくった。
見張りが戻ってきそうなのに気づいていたのだろう。
きっと、僕よりも早く。
「部屋に戻ろう。自由とは何だろうね...」
そんな独り言をぽつりと呟く。
さっきから考えている答えは出てこないそれは自問自答。小さな、囁くような独り言。
こちらを見た人がいた気がするけど、それは気のせい。
部屋に向かう。
自分の足だけを見ながら進む。
小さな願望が僕の脳裏をよぎる。
日常に戻りたい。
じゃあ、逃げなくちゃ。
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カルク(プロフ) - 更新しました!! (2019年7月17日 8時) (レス) id: 46db662a70 (このIDを非表示/違反報告)
カルク(プロフ) - 更新させていただきます! (2019年7月17日 7時) (レス) id: 46db662a70 (このIDを非表示/違反報告)
nekoarisu(プロフ) - 更新させていただきました! (2019年7月16日 21時) (レス) id: 322193fd57 (このIDを非表示/違反報告)
nekoarisu(プロフ) - 更新させていただきます! (2019年7月16日 21時) (レス) id: 322193fd57 (このIDを非表示/違反報告)
味噌鯖 - しました! (2019年7月16日 15時) (レス) id: 9ffca39a54 (このIDを非表示/違反報告)
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