第24話 byえむこ ページ24
海崎レオン
彼が通り過ぎていった牢獄では
怒声をあげ、今すぐここから出せと叫ぶもの。
死に怯え、生きる希望も無くした目で
こちらを睨んでくるもの。
そのような者たちがレオンの視界に入ってくる。
それらが入れられた牢獄を見張るのが彼の仕事。
ただ、罪人を監視し目を光らせる。
万が一、逃げた者たちがいたのなら捕まえて牢獄に連れ戻す。
ただ、それの繰り返し。
これが、この国を救う方法か?
と聞かれたら、彼もyesとは言えないだろう。
だがレオンは、それ以上の最善策を見いだせるほどの逸材でも天才でもなかった。
だからこそ、与えられた仕事をこなすそれが自分自身の
役目だと信じている。
そんな彼に真夜中の日と呼ばれる一年で一番、
見張りを強化しなければ行けない日がやって来る。
監獄の電気がすべて落とされるため、その日に脱獄しようと試みる者が毎年何人か出る。
だが、この高いセキュリティーの前で脱獄に成功した罪人は一人もいない。
だからこそ、だ。気の緩みが大きな失敗を呼ぶ。そうレオンはこの日が近づくために後輩や同僚に口煩く言っていた。見た目とは裏腹に真面目な所がある彼だからこその発言だろう。
真夜中の日に向けて、彼は罪人の動きをいつもより厳しくみて周っていた。
普段は気にすることはない牢獄の中の様子までも見てまわる。
罪人の行動や少しの変化、やましいこと考えていないか。レオンは人の変化に勘づくのが得意だった。それも長年やってきたこの仕事で習得したものだ。
(…昼の間に出入りしたあとの罪人の様子が変だな。)
罪人の行動を見ていると彼はそう気付いた。
それがただの勘違いか、真実かは確かめてみないとわからない。もしただの勘違いだったとしたにせよ、
調べてみるのが一番の得策だろうと思ったが、今の時刻は12時。
彼も人間だ。ロボットのように休憩や食事をとらないと
生きて行けない。ついでに、彼はヘビースモーカーだ。
煙草を吸わない時間が多くなればなるほどレオンの集中力はなくなっていく。
「…一つ休憩してから見に行くか。」
そう思い、ポッケットに入れた煙草をとりだし一本を口でくわえ、火をつける。
一口吸いうと、肺に煙草の煙が充満するのが分かる。今日一番の幸せそうな顔で美味そうに煙を出す。すると自然と普段からある眉間の皺は目立たなくなり優しげな表情になっていた。
少しだけ幸せな気持ちを手に入れたレオンは紫煙をくゆらせながら、腹を満たすため食事に向かった。
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カルク(プロフ) - 更新しました!! (2019年7月17日 8時) (レス) id: 46db662a70 (このIDを非表示/違反報告)
カルク(プロフ) - 更新させていただきます! (2019年7月17日 7時) (レス) id: 46db662a70 (このIDを非表示/違反報告)
nekoarisu(プロフ) - 更新させていただきました! (2019年7月16日 21時) (レス) id: 322193fd57 (このIDを非表示/違反報告)
nekoarisu(プロフ) - 更新させていただきます! (2019年7月16日 21時) (レス) id: 322193fd57 (このIDを非表示/違反報告)
味噌鯖 - しました! (2019年7月16日 15時) (レス) id: 9ffca39a54 (このIDを非表示/違反報告)
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