第36話 by▼鏡夜▼ ページ36
乱side
嗚呼、全く…
「暇なんだけど!」
個室で愚痴を吐く。
なんか嫌な匂いするし、本が無くなるし、探す気力ないし、ゴキブリ出たし…。
「あーあ、囚人共が反乱起こしたりしないかなぁ。
…まァ、そろそろ無罪の子達が色々とやろうとしているだろうけど。」
そう言って駄菓子を手に取る。
兄上達…まぁた抹茶シリーズとか買ってきたな……。
ビリビリと包装紙を破り、口の中に飴玉を放り込む。
「……回ってみるかぁ」
駄菓子を幾つかポケットに詰め込み、囚人たちの牢に向かう。今日も「彼」は元気だろうか。
「やぁシグマくん!明日処刑なんだって?」
「……嗚呼、貴方か。」
彼は明日の夜に処刑される無実の罪人。
名前は「シグマ」とのこと。男性で年齢は29歳、僕より3つ歳上…だけど、全くそう見えない。
話していると楽しいからこの子のことは好きなんだ。面白い作り話をしてくれたり、僕の嘘を信じ込んだり、天然な面もある。
駄菓子持ってきたよー、と言って彼に駄菓子を投げ渡す。
「またこれなんですか」
「兄上達が買ってきたんだもん、仕方ないよ。」
はァ、と彼は溜息をつきつつ包装紙を破って棒付き飴を食べる。「死ぬの、怖くない?」と、シグマに質問をふっかける。
「?そりゃ、怖いですよ。……でも、兄弟があの世で待っていると思えば私はそんなに怖くないです。」
と、シグマ平然とした顔で答える。
…あの顔されると、何も言えなくなるからホントやめて欲しい。
「他の子たちはどーなってた?」
「昼の間に集まってましたよ。私は処刑されるので、不可能なことでしたけどね。…昼の間には人が沢山集まる状況を作りたいらしいです。」
「フーン……脱獄の線が濃厚だ。」
ブツブツ呟くと彼はコホンと咳払いをして「呉々も他言しないでくださいよ?」と疑いの眼差しを僕に向けてくるので「心配ないさ、僕の口が堅いのは君もよく知ってるだろう?」と返す。誰かの足音がしたので、シグマに小さく手を振って素早く立ち去る。
───嗚呼、願わくば彼に幸福を。
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カルク(プロフ) - 更新しました!! (2019年7月17日 8時) (レス) id: 46db662a70 (このIDを非表示/違反報告)
カルク(プロフ) - 更新させていただきます! (2019年7月17日 7時) (レス) id: 46db662a70 (このIDを非表示/違反報告)
nekoarisu(プロフ) - 更新させていただきました! (2019年7月16日 21時) (レス) id: 322193fd57 (このIDを非表示/違反報告)
nekoarisu(プロフ) - 更新させていただきます! (2019年7月16日 21時) (レス) id: 322193fd57 (このIDを非表示/違反報告)
味噌鯖 - しました! (2019年7月16日 15時) (レス) id: 9ffca39a54 (このIDを非表示/違反報告)
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