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智「ああ、そうだ」
先生は立ち上がった時、思い出したようにそう言った。
智「アイツの秘密の場所教えてやろうか？」
･
･
午後の授業をサボって
僕はそこへ向かった。
二宮くんに会えるかどうかなんて分からないのに。
必死になって走ったんだ。
『アイツああ見えて海が好きなんだよ。だからあの海辺の公園によく行くんだって』
大野先生のその言葉を頼りに向かった公園。
昼を過ぎた時間のせいか小さな子供とその親で賑わっていた。
広い公園の中央部分にはたくさんの遊具。
他にも休憩用のベンチや丘も。
その丘の上にポツンと座る見慣れた猫背を見つけた僕は
そこへ向かい、彼の隣に腰を下ろした。
和也「サボりだ」
雅紀「二宮くんもでしょ」
海辺の公園、というだけあってその丘からはとても綺麗に海が見えた。
和也「大野さんから聞いたんでしょ？」
雅紀「うん。ごめん」
和也「謝ることじゃないでしょうよ」
クク。と笑った二宮くんはキラキラと光る海を見つめて眩しそうに目を細めた。
和也「知らないんだよ。あの人。なんで俺がここを気に入ってるのかなんて」
あの人が海を好きだから。
俺も海を好きになって。
草むらに寝転がるのが好きだって言うから。
俺もそれが好きになった。
和也「あの人が好きなものだから。俺もこうして好きになる。簡単なのにね」
そして彼はゴロンとそこに寝転がった。
和也「結局気付いてくれなかった。あのポンコツジジイはさ……」
僕の恋もきっと。
気付かれないまま終わっていくのだろう。
初恋は。
少しだけ穏やかで眩しくて。
目の前に広がる海の塩の味がしたような気がした。
＊オワリ＊
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作者名：Rin
| 作成日時：2015年3月13日 23時
