Love Situation【ars短編集】３ (ページ22)

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先生の恋事情(A×S) ページ22

身体にまとわりつくような夏特有の蒸し暑い空気が、俺は苦手だ。

雅紀「あっちー……」

冷房のついている教室内では生徒が真剣な顔をしながら黒板とノートを交互に見ていて

俺はそれを眺めながらスタスタと廊下を歩く。

そして保健室のドアをノックもせずにガラガラと開ければ

中にいた白衣姿の彼が睨むように俺を見た。

翔「何の用ですか？」

雅紀「ん？来ちゃダメでした？」

翔「用がないなら来ないでください」

プリントを作成しているのか、パソコンをカタカタ打ちながらこちらを見ずに彼は言う。

俺としてはそういう所が堪らないんだけど。

そんなこと分かっちゃいない彼は

カタカタと作業を続ける。

雅紀「用ならちゃんとありますよ？」

翔「…………」

チラ、と俺の一言で向く視線が

嘘つけ。と言っている。

その無意識な上目遣いもズルいよね。

まあ、これも分かっちゃいないんだろうけど。

雅紀「櫻井先生に会いたいから来てるんですよ？ボク」

女の子なら頬を紅くするだろう俺の笑顔にも。

彼はちっとも表情を変えない。

彼のそういう所が好きだ。

綺麗な人をグチャグチャに汚してやりたいなと思ってしまう俺のシュミに

櫻井先生はドンピシャな訳で。

ゲームを攻略する的な。

この人はどうしたら俺に堕ちてくれるのか。

俺はいつも考えている。

翔「ここは休憩室じゃないんですよ」

真面目なことを言うぷるぷるの唇に

ああ、キスしたいな。って思った。