Love Situation【ars短編集】３ (ページ13)

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暫く考え、俺が最初に選んだのは。

翔「大学の頃。……楽しかったから」

その瞬間。

『行ってらっしゃい』

柔らかい声と共に全身が眩い光に包まれて。

智「翔く～ん！」

雅紀「智くん！リュック開いてる！」

潤「朝からうるせー(笑)」

懐かしい。

懐かしい場所に俺は立っていた。

和也「おいお前！翔さんに抱きつくんじゃねえよ！」

智「あー、嫉妬してる。」

雅紀「醜いねえ～(笑)」

和也「うるせえ！」

俺の姿は周りに見えていないらしい。

智くんも雅紀も潤も

笑いながら俺の目の前を通り過ぎていく。

自分の過去なのに他の人の過去を見ているようで、少し切なくなった。

雅紀「あーー！やべ！家に筆箱忘れたかも！」

潤「何しにここに来てんだよ(笑)」

遠くなってしまった過去の俺らを見る俺に気づく者は誰もいない。

ああ、これが死ぬってことなのか。

今更ながらに思う。

和也「いつまで翔さんに抱きついてんだよ！離れろや！」

智「え～？ヤダ」

遠くにいる俺は笑っていた。

時々、和也を愛おしそうに見つめて。

和也に恋をする俺はあんな表情だったのか……。

雅紀「じゃあ俺が抱き締めてあげる！」

和也「……」

潤「顔怖っ！」

溢れていた笑顔が懐かしくて

地面が微かに涙で濡れた。