ブルーキャンディボトル (ページ2)

今日:14 hit、昨日:10 hit、合計:17,091 hit

2 ページ2

青

家に着くと、はまちゃんが説明してくれる。

トイレはこっち、風呂はこっち。

紫「流星の部屋、ここな。棚とかベッドとかは一応置いてるけど、他に欲しい家具あったら言うて」

窓がひとつ。さっきよりも傾いた西陽が入ってくる。

紫「ご飯できるまでゆっくりしとき。リビング来てもええから」

はまちゃんは優しい。

俺がおかんの元を離れてここへ来た理由も、かかえているものも、全部知っているはずなのに、何も言わずに受け入れてくれる。

俺が苦手なワードは、何ひとつ出さない。

逆にその優しさが怖くて、ぼふっと身をベッドに投げて縮こまる。

逃げるとかそういうんじゃなくて、落ち着くんよね。この格好が。

昔から、何かあった時にこの格好をとってたから、癖になってもうた。

あーあ、明日なんか来なければいいのに。

この世なんて、終わってしまえばいいのに。

そう心の中で唱えるのも癖。

悪いところばかり癖になってしまって、良いところは一つも残らない。

紫「りゅーせー。ご飯食べへん？」

いつのまにか時間が経ってたみたいやけど、お腹は空かなくて。

青「いらん、」

紫「そっかー、ほな冷蔵庫に入れとくな。その気になったら食べ？俺は部屋におるから」

ほら。食べなさいと言わないところ、優しすぎると言うか。

悲しくなったわけじゃないけど、泣きたくなって、静かに泣いた。