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彩羽サイド
『彩羽、また明日ね』
どこかで聞いたことのある言葉が急に私の耳に入ってきた。
またってことは、私はまだ、死ねないってことかな
てか、死にたくない。
麗菜達ともっと喋りたい。つまらないようなことを言って笑い合いたい。
神様、私の願い一つだけ叶えて。
『麗菜達と喋れるまで生きさせて』
そしてふと目を開けると、久しぶりの明るい光が見えた。
目の前には、涙を流したお母さんの姿。
お母さん。泣かせてゴメンね。
でも、これだけは、言わせて。
彩羽「お母さん、ただいま」
彩母「もう…!心配したんだから…!彩羽、おかえり!」
そう言ってお母さんは、私をおもいっきり抱きしめた。少し痛かったけど、お母さんからの愛情だと思えば、全然痛くなかった。
次の日。
今日は午後から麗菜達がお見舞いに来てくれるんだって。
もうすぐ、お別れかあ…。実感湧かないな〜
ここまで来るともうわかってくる。あとどれくらいで死ぬのかが。
でも、怖くないよ。あと少しで麗菜達に会えるんだもん。
麗菜「彩羽〜、来たよ!久しぶり!」
沙菜「久しぶり!」
彩羽「もうっみんな遅いよ〜、待ちくたびれちゃった」
恭也「ゴメンな〜、中々集らんくて」
やっぱり、最期は一人が良いな。みんなの泣いてるとこ見たくないし。
麗菜「あっもう面会時間ギリギリだ!またね彩羽!」
沙菜「じゃーねー」
恭也「また来る〜」
海斗「お大事にな〜彩羽」
彩羽「今日はみんな来てくれてありがとう!じゃあ、バイバイ!」
みんなが帰った後、お母さんも今日は遅いから来ないって言ってたし、たしか
看護師さんがもう少しで来てくれるはず。
看護師さん「彩羽ちゃん調子どう?ってもうすぐ死ぬのにそれはないって顔しないで!
大丈夫だから!」
彩羽「ありがとうございます。まあ、正直お母さんに会えないのだけはちょっと後悔だけど、
泣き顔見たくないから、もしかしたらこの方が良いかな〜って感じです」
そのあと、看護師さんが気を聞かせて、私を一人にしてくれた。
私はその間にみんなに手紙を書いた。
最後にもう死ぬって言えなくて、ごめんなさい。
ってことから初めて、最後の文には感謝の言葉。短い人生だったけど、楽しかった。
みんなに出会って、音楽やって、やりたいこと全部できた。
そして、みんなへの手紙を書き終わった頃、急に眠気が襲ってきた。
もう、これで眠ったら、一生起きることはできない。
私はその眠気に身を任せた。
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作者名:詩織 | 作成日時:2017年11月4日 22時