【紺青の拳】探偵と怪盗の正体を知っている女子高生３（完）

第98話 ページ9

リ｢いくら上手に変装しても、本物とバッタリ出くわしたら意味ないし…｣
新｢あらかじめ“何時”に“何処”にいるのか、わかってる人がいいよね？｣


新一が言うと、リシさんは｢そうか！｣と顔を上げた。


リ｢レイチェルさんは午後3時に毛利さんと待ち合わせをしていた。それで…｣
新｢そう。キッドは金庫室に来る恐れのない人物に変装する、そう読んだレオンさんの罠にまんまとハマったってワケだよ｣


新一が意地悪く笑うと、階段の前に立っていた快斗がチッと舌打ちする。
リシさんは快斗の元へ駆け寄った。


リ｢教えてくれ！先生は何をしようとしているんだ！？｣
快｢全ては馬鹿げた計画のためだよ｣


階段に座った快斗は持っていた黒いスマホでユージーンとレオンの密会現場の写真をリシさんに見せた。


快｢レオンはユージーン・リムというこの海賊の首領と接触していた。レイチェルの遺体発見現場の台座に残されてた文字は『she』。
そして、そのレイチェルが毛利探偵に密かに託したのは、中富海運のメダル。
＿＿＿全て船にまつわるもの｣
リ｢それになんの関係が…｣
新｢リシさん！｣

新｢これは探偵のお兄さんが東京から送ってもらった、この周辺にいる中富海運所有の船の航路解析だよ。
タンカーが1隻、予定の航路を大きく外れている｣
新｢このまま進めば、行き先はマリーナベイ。レオンさんは海賊を使って、タンカーを街に突っ込ませるつもりなんだ！｣


これだけの証拠を突きつけても、リシさんには信じ難いよう事のようだった。

…それもそっか、かつての師匠が本人だなんて誰も思いたくは無いよな…。
本来なら(・・・・)


リ｢第一、先生が何故そんなことする必要があるんだ？その理由は！？｣
新｢レオンさんがなんて言うかは知らないけどさ｣


新一はマリーナベイ側を振り返った。
対岸には、夕日に照らされた美しい街並みが広がっている。


新｢レオンさんが『紺青の拳』にこだわったのは、海賊を思い通りに操る引き換えとして必要だったから｣
リ｢だ、だけど…海賊は警察の目を逃れ、あちこちに散らばってる。どうやって連絡したんだ？｣
A｢マーライオンですよ｣

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