【紺青の拳】探偵と怪盗の正体を知っている女子高生３（完）

第118話 ページ29

Aside


半数ほどは引き付けることが出来ただろうか…
ドタドタと階段を駆け上がる音をバックに何とか屋上に辿り着いた。
真っ白な煙に覆われていた。


A｢なんでこんなに煙が…｣


ふとプールの方を見てみると


A｢新一！？｣


新一はプールの中央に並べられたデッキチェアの上を飛び跳ねながら、プールの外縁へと移動していた。

すると、すぐそばで唸り声が聞こえた。


男｢ん"ん"｣
A｢え！？｣


煙のせいで倒れている男の人に気が付かなかった。
男の人はムクリと起き上がり目が合ってしまった。


男「《お前…アイツらが言ってたクソガキか》」
A｢きゃあ！｣


殺意のような黒い感情のこもる眼に思わずたじろいでしまい、動きが止まる。
その隙を見逃さなかったその人は私の腕を掴み新一の方に投げ飛ばした。


A「い"だっ！」
新｢A！？おい、どうしたんだよその傷！！｣
A｢あとで説明する！それより今は＿！？｣


今はあの男の人をどうにかしないと、と言おうとしたとき男の人は、近くにあったデッキチェアを持ち上げ、コチラに投げてきた。


A｢いやあああ！｣
新｢うわっ！｣


ぶつけられた勢いで新一にぶつかり、一緒に吹っ飛ぶ。
そのまま柵の外に投げ出された。

私は、新一を抱えながら咄嗟に柵の下の縁に手をかけた。


A｢やばい…手が…｣


一気に負荷がかかったせいで傷が痛み、力が入らなくなってきた。
その上、止血が出来ていないため怪我したところから血が流れてくる。


新｢おい、A大丈夫か…ってヤベぇ！また降ってくる！｣
A｢…え｣


上を見ると、別のデッキチェアが柵から大きく飛び出して、ゆらゆらと揺れていた。
逃げ場のない空中で避ける手立てもなく落下してきたデッキチェアの衝撃で手を放した。

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