Love Situation【ars短編集】 (ページ7)

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③(sideS) ページ7

眩しい。

ただ、眩しかったんだ。

あなたという存在は俺にとって

誰よりも特別なものだったから。

知らないでしょう？

こうして笑う俺があなたにずっと恋焦がれてきたなんて。

鈍いあなたは知らないでしょう？

雅紀「翔ちゃ～～ん！綺麗だよ～～！」

雅紀のアホみたいな叫びに

ニノが呆れたような顔をするのが見えた。

潤「翔さ～～ん！こっち向いて～～！」

そしてカメラを向ける潤に

またニノが何かを言うのが見えた。

そんな中、あの人だけは。

まるで初めてこういう景色を見た子供のような顔をしてキラキラ光る照明を眺めては

眩しそうに目を細めた。

純粋にその場を楽しんでいるような穏やかな表情に俺は勝手にがっかりして

それでもあの人を壇上から眺め続ける。

減っていない彼の料理の皿をニノが指差し何かを言い

それに対し彼は小さく首を横に振って『いらない』という素振りを見せた。

「翔さん」

翔「ん？」

「美味しいですよ。食べないんですか？」

翔「ああ、食べるよ。緊張しちゃってさ」

隣に座る花嫁が微笑む。

俺の奥さんが微笑む。

ああ。何でだろうな。

彼女も、俺も。

なんでこんなに笑っていられるんだろうな。

ああ、違う。

笑うしかなかったんだ。

泣けないから、

眩しい光に目を細めて微笑むしかなかったんだ。

雅紀「翔ちゃ～～～ん！」

和也「なんでもう泣いてんだよ！」

遠くで雅紀の呼ぶ声にニノが『アホか！』と叫んでいる。

想いなんて届かなくていいから。

せめて一人のままで彼に恋をしていたかった。

ただ。

それだけの事だったのに。