Love Situation【ars短編集】 (ページ5)

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花が舞う。

その中心で微笑む翔くんは

とても、綺麗だ。

雅紀「翔ちゃ～～ん！」

翔「なんでお前が泣いてんだよ(笑)」

赤い絨毯の敷かれた階段を花嫁とゆっくりと降りる翔くんの周りを

祝福の花びらが舞う。

翔「智くん、俺……」

智「おめでとう」

翔くんの言葉を遮るようにして

俺は笑う。

おめでとう、なんかちっとも思ってないけど。

翔「ん……、ありがとう」

翔くんは小さく微笑むと、また一歩一歩階段を降りていった。

和也「アンタ髪に花びらめっちゃ刺さってるよ」

智「それもそれでめでたいんじゃない？」

和也「めでたくねえわ、アホか」

そうだよ。

これでいいんだ。

これでいいんだよね？脇役の俺には。

智「眩しいなぁ……」

好き。

好き。

大好き。

そんな気持ちに蓋をして

泣けない俺はやっぱり微笑む。

雅紀「ブーケ！ブーケ取りに行こうよ！」

潤「ニノも！行くよ！」

智「あれって女の子がやるやつじゃないの？」

和也「なんだアイツら……」

二人に引きずられるまま俺らは女の子がわんさか集まる一番後ろにぼんやりと立った。

次の幸せは私だと言わんばかりの女子達に翔くんは苦笑いしていたけれど

俺らを見つけると『何してんの(笑)』と口パクで言い、隣にいる花嫁の肩を叩いて俺らを指さした。

智「……」

絵本の中にいる王子様とお姫様みたいだ。

翔くんはどこにいたって綺麗だから。

雅紀「智くん！投げられるよ！」

潤「ニノも！ほら！」

和也「なんでお前ら取ろうとしてんだよ！」

ポーン。と白と黄色の花で作られたブーケが飛ぶ。

なんだかそれがスローモーションのように見えた。