Love Situation【ars短編集】 (ページ35)

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智「そんでね、セキグチが……」

雅紀「うん、うん」

基本、俺と智くんはどこでも仕事の話だ。

と言ってもそんな真面目なものじゃなく同期がこうだとかあの子が結婚するだとかそんな世間話のような会話。

智「タナカも結婚するんだってよ」

上目遣いのように智くんは俺を見た。

タナカ？

タナカってああ……あの爽やかな王子様キャラの人か。

ふーん。興味無いな。

雅紀「へえ～」

適当にそう返事したら智くんは唇を尖らせて拗ねたような表情をした。

あれ？もっと反応すればよかった？

智「相葉ちゃんは結婚するの？」

ああ、皆が結婚してるから俺のこと心配なのかな？

でも智くんも独身だよね？

雅紀「結婚かぁ……考えてなかったなぁ……」

智くんと結婚出来ないから

今まで考えたこともなかった。

雅紀「智くんこそ結婚は？」

『恋人はいないんだ』そんな返事を期待して聞き返した俺に

智くんは拗ねた表情のままで

智「……知らね」

そう答えた。

それから智くんがずっと不機嫌だったその訳を

俺が分かるはずもなかった。