Love Situation【ars短編集】 (ページ30)

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智「本当に好きだよ」

ゲホゲホ咳き込む俺に

智くんは少し困ったような顔をして言った。

どうしてそんな顔して言うんだよ。

俺に……どうして欲しいの？

からかってるの？

今の俺は素直になれないお年頃な訳で

確信が持てないその言葉で喜べるほど子供じゃなかった。

翔「俺も好きだよ。……だって幼馴染みだもん」

だから自分からそう壁を作るようなことを言ってしまうんだ。

智「そう……だよね」

へらっと笑った智くんは

傷ついたように下唇を噛んだ。

智「……翔くんにとって俺はただの幼馴染みなんだよね……？」

泣きそうな顔で

睫毛をふるふる震わせて

これじゃあ

智くんが俺のこと好きみたいじゃん……。

呆然とする俺に。

智「俺は、俺は…………」

震える声で智くんは言った。

智「翔くんのこと……

ただの幼馴染だなんて思ってないよ……」

コロン、と彼の目から涙が零れたのを合図に

『昼寝してくる』と智くんは逃げるように俺の前から去っていった。

俺はその背中を呆然と見つめることしか出来ず

ハッ！とした頃にはもう智くんの姿はどこにも見えなかった。