Love Situation【ars短編集】 (ページ29)

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＜Oside＞

智「あー、やっと昼飯だ」

翔「うどんかカレーだって」

翔くんは俺のことをよく知っている。

家族くらい、時に家族以上に。

翔「俺うどんにするから、智くんカレーにしたら？」

どっちにしようか迷っている、なんて声に出していないのに

翔くんは俺が迷っていることに気がついて『交換しよう』と笑った。

でもね。

そんな翔くんでさえ気付いていないことが一つだけあるんだ。

『幼馴染み』の君には分からないよね。

俺が君に恋をしているなんて

考えてもいないだろうね。

翔「はい、うどん食べていいよ」

いつも一緒にいてくれるのも

俺にこうして優しくしてくれるのも

きっと『幼馴染み』だから。

誰よりも近くにいるはずなのに

手を伸ばしても触れられない。

智「翔くん」

翔「ん？」

智「俺、翔くんのこと好きだな」

少しふざけた口調でしかそう言えない自分が大嫌いだ。

翔「うん、俺も好きだよ？(笑)」

ふざけた口調で返事が来るのは当然のこと。

翔くんは笑って『いきなり何？』とうどんを啜ったけど

勢いが良すぎて『ブホ！！！』と吹き出していた。

『好き』の一言ですら

ふざけないと言えない関係。

それが一番辛かった。