幼馴染み(S×O) ページ26
『幼馴染み』
この言葉を誇らしく思ったこと、これまでに数え切れないくらいある。
それと同時に憎くて仕方がなかったことも多分、数え切れないくらいある。
ピンポーン。
翔「おはようございます、櫻井です」
登校はいつも智くんの家のインターホンを押すことからスタートする。
「翔くんおはよう。智ったらまだ寝てるのよ、いつもごめんなさいね〜」
インターホンを押してすぐ。
智くんのお母さんがいつも大体同じセリフをいいながら玄関を開けてくれて
俺はいつものように一直線に二階の部屋へと向かった。
布団がモゾモゾと動いている。
きっとお母さんに一度声を掛けられたけれどまだ寝ていたい、そんなところだろう。
智「……うぅん……」
翔「起きて。朝だよ」
智「……しょ……くん……？」
翔「うん、起きて」
こうして朝、君を起こすのも。
お母さんが当たり前のように家に入れてくれるのも。
俺と君が
幼馴染みだから。
それ以外の理由はないんだよ。
「翔くーん！ご飯出来るから智と一緒に降りてらっしゃい！」
翔「はーい」
いやだ、学校休む。頭痛い。
嘘が下手くそのくせにそう言って駄々をこねる君を無理やり引っ張って一階のリビングへと連れていく。
智「……翔くん強引……」
翔「嫌なら早く起きなよ」
智「……無理」
モソモソご飯を食べながら智くんは眠そうな目で俺を睨む。
それを無視して俺は遠慮なく智くんたちと一緒にご飯を食べる。
幼馴染みという壁はあまりにも大きくて
もう、このままでいいんじゃないかと痛む心に気付かないふりをして俺は今日も一日を過ごすのだ。
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作者名：Rin
| 作成日時：2014年7月15日 11時
