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仕事が休みの日。
僕は珍しく電車で外に出かけていた。
車でも良かったけど、少しいつもとは違う景色を見たくて敢えて電車を選んだ。
その帰りの車内、空いている席を探していたところで相葉さんを見つけた。
後ろ姿だけど一目見て相葉さんだ、とすぐに分かったんだ。
智「あの、こんにちは」
雅紀「えっ！」
肩を叩いて声を掛ければ驚いたような声を出して、なぜか辺りをキョロキョロし始めた。
なんか……マズかったのかな？
不安が大きく渦巻く中で僕は笑顔を浮かべて相葉さんの向いに座り
話題を作ろうと必死だった。
智「大学の帰りですか？」
雅紀「あ、はい。」
シャツにカーディガンな学生さんらしい服装も相葉さんによく似合っていて。
僕はもうこんな服装しないなぁ、とすごく懐かしいような気分になった。
智「……いいねぇ、若いって」
雅紀「は？」
若いのが羨ましくてつい零れた一言に相葉さんはキョトンと不思議そうな顔をした。
ああ、そうか。
智「ボクね、若く見られちゃうみたいで。もう三十過ぎのおっさんです」
雅紀「さ、三十過ぎ！？」
相葉さんにも僕が実年齢より若く見えていたらしい。
まるで翔くんのように驚く相葉さんは『同い年くらいかと』と小さく笑った。
いくら見た目が若いとはいえ、相葉さんとの年齢差は縮まらない。
そう思ったらなんか急に悲しくなってきちゃって
智「……やっぱりこんなオッサンじゃ恋愛対象に見れないよね」
じわぁ……と視界が歪んだと思ったら、ポロリと一瞬にして落ちていった。
ああ、もう情けない。
気付けば電車は僕が降りる駅に停まっていて
智「じゃあ、」
よかった。と思い逃げるように電車を降りた。
スン、と鼻を啜り帰ろうと振り向いた僕は目の前に立つ人を見て動けなくなった。
智「どうして…………」
いるはずのない相葉さんが
眉を寄せて切なそうに僕を見つめていたんだ。
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作者名：Rin
| 作成日時：2014年7月15日 11時
