第10色 大勝利 ページ16
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それからアリルはあの鏡を探し続けたが、新学期になっても見つけることはできなかった。
「移したんですか？」
「そうじゃ。理由はわかるじゃろ？」
ダンブルドアはそう言って微笑む。
確かに、ハリーののめり込みようは異常だった。
「ところで、アリル」
「はい」
「君には何が見えたかね？」
ダンブルドアがなぜそんなことを聞くのか、アリルにはわからなかった。だって、あれは何も映さなかったじゃないか。
鮮明に思い出せる。鏡の中のぼくはひとりでに動き回っていて、それはまるで魔法界の写真みたいで……でも、それだけ。
「特には。ぼくが勝手に動いているだけでした」
「そうか……」
なぜだかそれが悲しげに聞こえて、アリルは目を瞬かせた。何か、彼を悲しませるようなことを言ったのだろうか？
「とにかく、もうあの鏡を調べる必要はないよ」
「わかりました。それじゃ」
ぺこり、と頭を下げ、アリルは廊下を小走りで駆けた。禁じられた森でユニコーンの血を見てから、ずっと不安でたまらなかった。
それから、アリルは本当に鏡を探さなくなった。
あんまり急にやめてしまうので、また根も葉もない噂が立った ( 誰かを呪うために髪を探していたのだ、とか ) 。
そして、グリフィンドール対ハッフルパフの試合がやってきた。
ここでハッフルパフに勝てば、グリフィンドールは首位に立てる……要するに大事な試合らしい。
だが試合は五分とたたず、ハリーがスニッチを捕まえて勝利した。あれほど華麗なクィディッチを、アリルは見たことがなかった。
試合が終わると、ロンとハーマイオニーがこちらにやってきて、アリルの背中をばしばしと叩いた。
「見た！？ ハリーのすごかったのって言ったら！」
「見てたよ、見てた……すごかったね」
興奮しきって抱きついてくるロンを微笑ましく思いながら、アリルも笑いかける。
こうやって友人たちと笑い合えるのが、何より嬉しかった。
「ハリー、どこ行ってるんだろう。これから談話室でパーティーするっていうのにさ」
ロンが一転してむすっとしながら言った。
アリルは「すぐに来るよ」と彼を宥めて、こんど個別で戦勝記念パーティーをすると約束した。
場所は大広間、メンバーは四人。
まあ普段の食事と変わらないのだが、それでも、アリルは嬉しいのだ。
もっとも、こういうとき、やっぱりグリフィンドールだったらと思わずにはいられないのだけれど。
続く (更新停止中)
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作成日時：2020年3月19日 16時
