4 ページ23
.
それから事は驚くほど淡々と移り変わった。
我が家に父がいた面影は跡形もなく消えて、
今じゃあもう
ずっと三人で生きてきたようにまで感じる。
時の流れって恐ろしい。
いなくなった人のことは嫌でも忘れちゃうんだ。
「Aちゃんも来て！
僕、お花渡す係やねん」
.
「A、大丈夫か？」
「お兄ちゃんこそ大丈夫なん？」
「……気分悪なったら抜けよ」
「言うと思った」
『新郎新婦の入場です』
デレデレと頬を緩めるかつての同居人の隣で、一礼した女性。
真っ青なドレスに身を包んで、笑ってる。
流星くんは知らない。
私たち兄妹の父親が
自分のパパになることを。
「お兄ちゃん」
「……ん？」
「私、何か悪いことしたんかな」
流星くんはまた知らず知らずのうちに新たなものを得る。
奪い取っていく。
嬉しそうに両親を見つめるその真っ直ぐな瞳が
汚れを知らない無垢な瞳が
廉にそっくりなの。
「A、行こ？」
「…」
「こんなとこおる意味ない」
金色に反射するライトの間を縫って
逃げるように式場を後にする。
煌びやかな光は私には似合わない。
どうにも居心地が悪かったの。
ねえ、廉、大吾。
私も青にのまれたら、だめ？
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 161人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
絢 - 廉くんとその家族、主人公の感情が丁寧に書かれていて一人一人の気持ちが具体的に伝わってきます。これからも更新頑張ってください！応援しています。 (2016年5月4日 17時) (
レス) id: b4318d4188 (このIDを非表示/違反報告)
絢 - 廉くんとその家族、主人公の複雑な感情が丁寧に書かれていて一人一人の気持ちが具体的に伝わってきます。これからも更新頑張ってください！応援しています。 (2016年5月4日 17時) (レス) id: b4318d4188 (このIDを非表示/違反報告)
みりぃ(プロフ) - すごく引き込まれる言葉選びと運びに、一瞬で読んでしまいました。ぜひ更新がんばってください。 (2016年2月11日 16時) (レス) id: 3ae53e6610 (このIDを非表示/違反報告)
紀衣(プロフ) - 初めまして！！この作品、本当に好きです！内容だけでなく、言葉の選び方とかも凄く綺麗で。読んで居て惹きつけられました。廉くんに何があったのか、など凄く気になります！更新頑張って下さい！！ (2016年2月11日 8時) (レス) id: d7c93b1180 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：rain | 作成日時：2016年2月4日 7時
