100円あげるからキスして？烏野ver.

7:影山【？？】 ページ10

「飛雄ー！」


「んぉ？」



紙パックのジュースのストローを咥えながら
何にもない間抜けな顔して振り向いた飛雄。

うん、声も間抜けだったね。
やる気スイッチオフなのかな…。



「あぁ、Aさん。ちわっす」




他の先輩には"こんにちは"って言うのに、
私には、ちわっす、ちす、うす、他_。

対応が簡潔明瞭。可愛いから憎めない。

飛雄も悪気ないだろうし、許そうか。




「ねぇ、ねぇ、飛雄」


「…何すか？」


「キスってした事ある？」





いきなりとか、飛雄には関係ない。

馬鹿だから回りくどいと理解できないし。


私は首を傾げてみる。

破壊的に気持ち悪いだろうけど飛雄は
顔色を変えず、私の事を見ている。





「ないっす」




それだけ言って、
また紙パックのジュースを飲む。

だよねー、経験なさそうだもん。


飛雄の事を知れば知る程、
飛雄に対する固定概念が壊れる。


あのクールでイケメンな容姿、
背が高くて天才セッターだけど、

馬鹿でお子ちゃま____。



嵌る。嵌るけど、それ以上に面白い。






「じゃあさ、飛雄。

100円あげるから、キス…しよ？」





そう問いかけると、
珍しく飛雄は頬を赤らめた。

なんかレアで可愛い。





「い、良いんすか？俺で…」




そう言いながらも、瞳はギラギラしてて
狼に狙われたように血が騒めく___。

私は、ゆっくりと頷くと飛雄は、
キスなんてせずに私に背を向けた。


"どうして"とか、思いながらも
口に出さずに黙って彼の行動を見守る。





「そしたら、歯磨いて顔洗って、
髪の毛セットしてくるんで、

ここで、待ってて下さい！」


「え…ちょっと、飛雄…！？」






___彼は走って行ってしまった。

取り残された私はポツリとデクノボーになる。





「はぁ、ほんっと馬鹿」




そのままの、飛雄が良いのに。




「早く迎えに来てよね、王子様…」





.




そして、30分後に走って来た飛雄は、

髪の毛をワックスでガチガチに固めて
何だか強過ぎるミントの匂いがして

制服のボタンを全て外した、

まるで不良のような飛雄_____。








「Aさん？どうかしたんですか？」






.






こんな飛雄、やだよぉぉぉ…。

8:日向【OK】→←成田と木下。菅原より

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