isi.k ページ9
一『 だーかーらー!!思い出に浸ってないで、ダンボールに詰めてってば! 』
「 ごめんっていっちぇ〜〜! 」
一『 その呼び方も辞めて! 』
「 なんでよ、可愛いじゃんか 」
一『 あのねえ…… 』
「 ふへへ、いっちぇかっこいいよ 」
一『 ……ばか! 』
引っ越し作業中の私の家に
幼馴染で2つ下の一世が手伝いに来てくれた
綺麗好きの一世はガサツな私の部屋を見て
『 ちゃんとしてよね! 』と言いつつ
なんだかんだ最後まで手伝ってくれた
「 手伝ってくれてありがとう 」
引っ越し業者に荷物を全て出してもらい
何も無くなった空っぽの部屋のど真ん中で
目を瞑って寝る一世の隣に座った
さっきコンビニで買ってきた清涼飲料水を
頬に当てて一世を起こす
一『 冷たっ!あ〜ありがとう 』
「 いいえ〜お礼にしては安いけど 」
一『 ……全然いいよ 』
「 ふふ、顔赤くしちゃって可愛いね 」
一『 だから、男はカッコイイって言われたいんだって 』
「 だって、歳下だし、弟感強いよ? 」
一『 …… 』
すると一世は起き上がって
プシュ、とペットボトルの蓋を開けて
急に一気飲みをしだした
……なんか気に触ること言ったかな??となりつつも
私も買ってきたブラックコーヒーを取り出す
一世はその姿を見て、体をこちらに向ける
一『 …あのさ 』
「 なに? 」
一『 Aちゃんは、俺の事どう思ってるの? 』
「 へ? 」
一世は私が飲もうとしていたブラックコーヒーを取り上げて
ごくごくと飲みだした
一『 にっが…… 』
「 一世にはまだ早いよ 」
一『 ……っ!俺だってもう高校生になったし! 』
「 そうだねえ、男の子っぽくなったねえ 」
一『 ……いつもそうやって弟扱いしてくるの、すっごく嫌なんだけど 』
一世は小さくそう呟いて
苦い顔をしながら
残りのブラックコーヒーも飲み干す
そして、そのまま何も無くなったこの部屋でまた寝転んだ
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作者名:shion. | 作成日時:2019年10月11日 20時