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「 …この感じ久々だなあ 」
瑞稀の家に来るのは1ヶ月ぶりで
キッチンから見えるリビングは
相変わらずしっかり整理されていた
「 お粥でいいよね 」
と、誰も居ないキッチンで呟くと
私はスーパーで買ってきた材料を取り出し
いつ瑞稀が起きてもいいようにテキパキ作る
そして、一通り完成した所で
寝室からゴホゴホと辛そうな咳が聞こえて
私はスポーツドリンクを持って駆け寄る
するとベットの上で咳をして、唸りながら
ポロポロと涙を流す瑞稀の姿があった
瑞『 Aっ、どこ…っ 』
「 ここにいるよ、ごめんね、お粥作ってた 」
瑞『 ん……、ありがとう、』
「 スポドリ、少しだけ飲める?」
瑞『 ん… 』
ペットボトルの蓋を開けるのでさえ
苦戦している瑞稀の弱々しい姿を見て
不覚にもキュンとしてしまう自分をかき消し
瑞稀からペットボトルを取って
蓋を開けた状態で手渡しする
「 なんか、食べれそ? 」
瑞『 ……食べる 』
「 ゼリーとAちゃん特製お粥どっちがいい? 」
瑞『 …お粥 』
さっきよりは少しだけ元気に見える瑞稀を
寒くないように毛布でぐるぐる巻きにして
体を起きさせ、作ったお粥を食べさせる
私はフーフーしてから瑞稀の口におかゆを運ぶ
瑞稀は可愛いほっぺをむにむにさせながら
ゆっくりしたペースでもぐもぐと食べている
「 全部食べなくていいからね? 」
瑞『 うん 』
「 体調は、どう? 」
瑞『 さっきよりマシ 』
「 良かったあ 」
瑞『 あり、がとう 』
「 いいの!私も早く気づいてあげられなくてごめんね? 」
瑞『 ……ううん、俺、頑張って隠してたから気づかれてびっくりしちゃったくらいだし 』
「 も〜、今度からはちゃんと言うんだよ? 」
瑞『 ……はい 』
あからさまにしゅん、と小さくなる瑞稀は
いつものドSな瑞稀からは考えられないくらい可愛い
そんなこと、口が裂けても言わないけど
たまにはいいかな……?
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作者名:shion. | 作成日時:2019年10月11日 20時