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8回表
未だ0-0のまま、守備が始まる
そこで私は雄登の様子がおかしいことに気づいた
左足が痙攣しているかのように震えていて、軸が安定しない
いつもは吸い込まれるかのように
ボールが優斗の待つグローブへボールが投げられるのに
今は優斗のグローブに入らない
優斗もその異変に気づいているようだった
投げる度にズレる軸
雄登の投げるボールにはいつものキレが無くなっていた
そして、ノーアウト1塁3塁のピンチを迎えてしまった
優斗は雄登に対してかなり圧をかけた
いつもはその圧が雄登を奮い立たせるのに
カキーン!
実況『 これは!入りましたァ!ホームランです!ここで2点入られるのはかなり厳しいですねェ、○○さん! 』
解説『 そうですね、どうにか取り戻して欲しいものです 』
そんな声が裏では聞こえてきて
私は思わず耳を塞ぎたい気持ちにかられた
そして攻撃
相手の慎重なプレイは完璧で
私達は点が入ってしまったという動揺からか
小さなミスが目立つプレイをしてしまった
そして、1点も入らずに9回表は2-0で迎えた
「 雄登?!熱中症でしょ?! 」
私はベンチでぐたっとうなだれた雄登に駆け寄って
すぐに冷えピタを貼りと保冷剤を持たせる
試合は第2試合だったためか
一日の中でも1番日が照り付ける時間帯だった
1回からずっと投げ続けていた雄登の身体は
いつ倒れてもおかしくないくらいだった
雄『 …いや、ちょっとね 』
優『 おい、雄登 』
「 ちょっと、今は…… 」
雄『 いや、俺が悪いんだ。優斗、本当にごめ… 』
優『 お前が今ここで倒れて、もし一緒に甲子園行けなかったらどうすんだよ!』
優斗は悔しそうに唇を噛んで
雄登の首に冷えピタをパチーンと貼る
雄『 いったあ……!なにすんだよ! 』
優『 口答え出来んじゃん 』
優斗の理不尽な言葉に
雄登は俯いた顔を上げて立ち上がった
雄『 ……やってやるよ 』
優『 そうそう!その言葉待ってたんだよ 』
「 ちょっと!あんまり無理すると…… 」
雄『 ……Aありがとう、でも監督には言わないで 』
「 でも…… 」
優『 A、最後のわがまま聞いてよ 』
雄『 大丈夫、俺らのこと信じて 』
彼らはそう言って私に背中を向けて
力強い足取りでマウンドへ踏み出して行った
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作者名:shion. | 作成日時:2019年10月11日 20時