もう一度本気の恋を【nino】 (ページ8)

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8 -kazunari.n- ページ8

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「ん・・・」

携帯のアラームが鳴り、久しぶりの心地よい眠りから覚めたくなくて手探りで携帯を探す。

10分後にもう一度鳴るまであの暖かい存在を抱きしめようと横に手を延ばすけど、いくら探っても触れない。

一気に目が覚めて隣を見ると彼女はいなかった。

もう帰ったと予想しながらも携帯を持ってリビングのドアを開ける。

閉めてなかったはずの窓にカーテンが引かれ、いつも以上に薄暗く感じるリビングにはまだ彼女の余韻が残ってるのに姿だけはどこにもない。

昨日彼女がお店から出て行った時に襲った焦燥感がまた胸をよぎる。

それを無視して気持ちを切り替えるべく窓を開けて風呂場へ向った。

風呂から出てきて、机の上に置きっぱなしになっていた水の入ったペットボトルを手に取る。

その下に覚えのないメモと150円。

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二宮さんへ

ありがとうございました。

冷蔵庫のペットボトル1本頂きました。
勝手に開けてしまってすみません。

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昨日から何度も言われた " ありがとう "

ありがとう、ね・・・

ただ抱いただけの関係にお礼を言われたのはさすがに初めてで。

150円置いてくとか・・・俺どんだけケチに思われてんのよ。

ってかさ・・・

「名前くらい書けっての・・・」

名前くらい聞けばよかった。

呼んでやればよかった。

なんて、らしくないことを思う。

深く彼女の事を考えそうになったところにマネージャーからの着信。

現実に戻された気分になって考えるのをやめた。

結局名前もしらない身体だけの関係。

何か引っかかりながらもそれをごまかすように携帯の通話ボタンを押した。