3 -kazunari.n- ページ3
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「抱いてもらえませんか？」
ある飲み会で出会った彼女。
ぼーっと飲んでた俺に突然声をかけてきたと思ったら、そんな直球なもので。
俺に気に入られようといろんな手段を講じてくる女はたくさんいる。
関係もったとたん彼女気取りのやつとかね。
けど世間話もなしにこんな直球できた子は初めてで少し興味をそそられたけど、ふいにさっきまで俺にまとわりついていた女を思い出した。
ベビのように腕に巻きつき胸を押しつけ猫なで声で囁く女。
その女がつけていたきつく甘ったるい香水が服から香った気がして、未だにまとわりつかれてるようで吐き気がする。
きっとこの女だって同じでしょ・・・
丁寧に断るのも適当にあしらうのもめんどくさくなって、彼女に冷たく言い放った。
「・・・めんどくさいのはお断りなんだけど」
言ってから泣かれる可能性に思い至った。
テレビの俺のイメージで話しかけられて違う対応するとさ、がっかりされたり不満いわれたり、ね・・・だから泣かれて余計面倒になったらどうしようって。
なのに彼女は驚くことも怒ることもなく寂しそうに笑った。
「別に彼女にして欲しいなんていいません。ただ抱いて欲しいんです」
「・・・・・」
確かに彼女からはさっきまでいた女のような媚び諂う感じはまるでない。
逆に最初から身体だけの関係を求めてくる彼女に潔さまで感じる。
さっきの女と目的なんて同じはずなのに彼女とこうも違うとはね・・・。
けどさっきの女のせいでもう女を相手にする気分になれなくて。
さっきの女、どこ行ったんだろ・・・
貸し切りの店内を見回すと、なびかない俺からターゲットを変えたのか後輩へとしだれかかってた。
結局誰でも言い訳ね・・・(笑)
目の前にほんの数センチの残っていた酒を煽りもう一度彼女を見ると、返事をしない俺を気にする様子もなく店内を眺めながらお酒に口にしていた。
「別に・・・俺じゃなくてもいいでしょ？他の若いの紹介してあげよっか」
どいつにすっかな、なんて鞄から携帯を取り出そうとしたところで、さっきよりもはっきりと彼女の声が耳に届く。
「二宮さんがいいんです」
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作者名：にじます
| 作成日時：2014年5月22日 19時
