守られる『twenty eight』美玲編 ページ36
・
話された思いにわたしは口をきゅっと引き締めた。
「こんな兄でごめんな…嫌いになっていい。いや、むしろ嫌ってく、」
パンッと乾いた音が響いた。
わたしが、美玲兄さんを殴ったのだ。
ぽかんとしてる美玲兄さんに向かってわたしは初めて、怒鳴った。大声をあげた。
『嫌いになる訳ない!! 人形扱いされてもさくらに間違われても…わたしは、大好きだった。確かに怖かった、兄さんが怖くて仕方なかった…! でも、わたしは…わたしは……。』
涙が、ほっぺを伝う。
視界が霞む。
顔中が、ぐちょぐちょだ。
『大好きなの…美玲兄さんが、大好きなの!』
思いを、伝えた。
怖かった。怖くて仕方なかった。
でもわたしは大好きだった。
だから人形扱いされたら人形になった。
いつしかそれは、トラウマになったけれど。
それでも大好きだったんだ。
最初から、ずっとずっと…
ー…兄さんが。
涙があふれてあふれて溢れていく。
しゃっくりを上げながら手で拭く。何度も。
そっ、とおっきな手がわたしの手に触れた。
そしてわたしの涙を、拭いてくれた。
「ありがとう…ありがとう…A。」
ふわりと、昔と同じ顔で笑った美玲兄さんにわたしは思いっきり抱きついた。
二人で一緒に、泣きわめいた。
ー…ありがとう。大好き。
ー
「月山美玲いるかゴラァ!!」
「おれのAを泣かした奴出てこいやぁ!」
「しおり落ち着いてぇぇ!! 国見ちゃんも、てか国見ちゃんのじゃなくない?!」
『ー…何やってるんですか皆さん。』
小1時間泣きわめいていたら、バレー部の皆さんが突撃してきた。え、てかなぜわたしの家を知ってるの?? え?
「「!! Aーーっっ!!」」
『むぎゃっ!』
国見くんとしおりちゃんに突撃ダイブされ、後ろに転倒しそうになったけど美玲兄さんが支えてくれた。
ぎゅうぎゅうとキツく抱きしめてきてくれる二人があったかくて、涙腺が緩んでいたのかぽろっと涙が一粒、溢れた。
それを見たバレー部が美玲兄さんに襲いかかるのを必死で止めた。落ち着いて!
「マミー、嫌われなかったぁぁ!」
「良かったわねぇ。」
「良かったな!」
「…まぁ、次Aを人形にしたら…な?」
「…ういっす。」
『美玲兄さーん!』
「! なぁにA♪」
ー…人形は、もうお終い。
未来を歩いて行こうか。
ー美玲編fin
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優琴(ユキ)(プロフ) - ヒロインちゃんと同じ名前で笑いました笑笑めっちゃ好きです! (2022年1月27日 16時) (レス) @page1 id: 2ddfb5e61c (このIDを非表示/違反報告)
しゃけ(プロフ) - 内容はよきまるです。でもやっぱり気になってしまうのが、「〜というと」の文が「〜とゆうと」「〜とゆーと」になって、話していないところなのに話し言葉なのが少し気になりました。 (2020年3月13日 12時) (レス) id: 9cd1e2c3d2 (このIDを非表示/違反報告)
沖巾清歩@きよぽん(プロフ) - 今更ながらすみません、矢市と書いてあるのは矢巾ということですか…? (2018年10月10日 16時) (レス) id: af5f79a42a (このIDを非表示/違反報告)
ふにゃーっ(=^..^=)ミャー - 面白すぎ金田一キャラ崩壊w (2018年3月3日 9時) (レス) id: 16c3573816 (このIDを非表示/違反報告)
シュリラ - もう本当に面白いですね!国見とか金田一のキャラ崩壊とか面白いです!応援してます! (2017年11月12日 23時) (レス) id: 485ba1922b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミニマム | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org
作成日時:2017年5月28日 17時