“元”及川先輩のファンです【花巻貴大】

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(Aside)


購買の人が手渡してくれたシュークリームは、意外と大きくて美味しそう。


教室に帰ってから大事に食べよう。

私は貰った袋にそっとしまったけれど、早速カレーパンにかじりついているみーちゃんが視界に入って、思わず笑ってしまった。



が、その背後にある人を見つけて表情が固まる。


見覚えのある、ピンクブラウンの髪。短い前髪。

あの人だ。


自然と胸が高鳴る。


確か……“マッキー”先輩、だったっけ。流石にあだ名だと思うけど。


マッキー先輩の隣には、黒い癖っ毛でこれまた背の高い男の人。見覚えがあるので多分バレー部。

何を買うのか気になって見ていれば、自分の番が来たのに何も買わずに列を逸れた。

不思議な行動に困惑していると、マッキー先輩がお友達に向かって一言。


「売り切れてたわ〜。シュークリーム」


その一言に、ぴきりと固まる。



さっき、私が最後のひとつを買ってしまった、シュークリーム。

まだ口を付けていない手元のそれに目線を落とす。


……これ、好きなのかな。

別にこれ目当てで来たわけじゃない私より、マッキー先輩に食べられる方がこのシュークリームも嬉しいはず。


シュークリームとマッキー先輩とを交互に見て、心に決めた。


「……よし、渡してくる」

9→←7《再会》

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