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(Aside)



「ひ〜……!」


目の前に叩きつけられたボールが大きく跳ねて壁にぶつかる。


なにあれ、直撃したら死ぬかも……!


なるべく体育館の隅の方で、転がったボールをちまちまと拾ってはいるものの、


「わ、」

「あっ」

「あーもう……」


ボールがなかなか腕に収まってくれない。

ひょいひょいと片手でボールを拾い上げていっぱい抱え込む浜嶋さんは流石だなぁと勝手に感心する。

ちなみに浜嶋さんは他のマネージャー業においてもめちゃくちゃ手際がいい。
テーピングなんてなんの迷いもなくぱーっと終わらせてしまうし、それでいて丁寧だ。


そうこうしているうちに、私もやっと五個持てた。


よし、あとはこれをカゴに入れに行くだけ。

落とさないようにそろそろと歩いていると、


「松浦危ないっ!」


岩泉さんの声が響いた。


え、なに?

と思う間もなく、眼前に迫る豪速球。


「っ……!」


逃げなきゃ、とは思うのに、足が動かない。


どうしよう、ぶつかる……!


思わずきゅっと目を閉じた瞬間、右の頬のあたりに強い衝撃が走った。


「いた、っ」

「Aちゃん! 大丈夫?!」


その衝撃で、抱えていたボールを手放してしまう。

ころころ……と四方八方に転がっていったボール。



そして、



そのうちの一つが転がっていった先には、スパイクを打つために跳んだ花巻先輩。



危ない、どうしよう。

花巻先輩が怪我しちゃう。



そうは思うのに、声が出ない。





____そこから先は、スローモーションみたいに見えた。




転がっていったボールの上に着地してしまった花巻先輩の体がぐらついて、ふらりと倒れて。


なんとか床に手をついた花巻先輩だったけど、そこから立ち上がることは出来ないみたいで。


「貴大っ!」


浜嶋さんが、珍しく大きな声で先輩の名前を呼んで駆け寄って、その靴を脱がせて足首を確認している。

私は金縛りにでもあったようにぴくりとも動けずに、床に座り込んだまま、ぼーっとその光景を眺めていた。


じんじんと痛む頬が、だんだんと熱を帯びてくる。



何も考えられなかった。



でも、


とっても大変なことをしてしまった。




それだけは、分かった。

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殊梨(プロフ) - 冷凍庫さん» とっても嬉しいです、是非お願いしますm(._.)m (2019年10月3日 21時) (レス) id: a11fe8d0dd (このIDを非表示/違反報告)
冷凍庫 - イメ画を描いてもいいですか? (2019年10月2日 18時) (レス) id: 29ebb411a4 (このIDを非表示/違反報告)
殊梨(プロフ) - 黒伸☆〜(ゝ。∂)さん» 矢巾くんのポジション、どうするか凄く悩んだのでそう言っていただけてとても嬉しいです!ありがとうございます(_ _) (2019年8月29日 22時) (レス) id: 653275ba5c (このIDを非表示/違反報告)
黒伸☆〜(ゝ。∂)(プロフ) - コメント失礼します。主人公ちゃんとマッキーと矢巾んの三角関係が可愛くて大好きです!ああ!!3人とも幸せになれ!!と思いながら見てます!これからも頑張って下さい! (2019年8月29日 20時) (レス) id: d24404e68a (このIDを非表示/違反報告)
殊梨(プロフ) - 声優LOVEさん» コメントありがとうございます! わー嬉しいです(*/∀\*)頑張りますね〜! (2019年8月29日 19時) (レス) id: 653275ba5c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:殊梨 | 作成日時:2019年8月17日 23時

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