33 ページ33
(Aside)
「こんにちは〜……」
そろりとドアを開けて体育館に入ると、ちょうど昼休憩を終えた部員の皆さんが戻ってくるところで。
「お、お疲れ〜」
「こんにちは！」
口々に挨拶をしてくれた皆さんにガチガチの会釈を返しつつ、荷物を持って体育館に入る。
まだ名前は覚えきれていないけれど、何年生か、ってことくらいは見分けがつくようになってきた。
さぁ、ここからは仕事だらけだ。
何からやろうかなぁ、と体育館を見渡す。
備品の整理もしたいし、来週末には買い出しに行くから足りないものをリストにまとめてほしい、とも言われている。
あ、あのビブスもう使わないかな。そしたらそれも洗わなきゃ。
水泳部での経験が少しでも役に立つかと思えば、水泳部とバレー部じゃ仕事内容が全く違って大変。
それでも頑張れるのは、頼られて嬉しいっていうのもあるし、
……正直、六割くらいは花巻先輩が理由だ。
今日はどこにいるかなぁ、と探してみれば、壁に寄りかかって松川先輩とお話し中。
そんな先輩が時折見せる笑顔に、勝手にドキドキしてる私。
……仕事しなきゃ。
◇
「あの、……先輩」
「はい」
体育館の端っこで備品整理をしているとき、突然背後から声がかかった。
リストに書き込む手を止めて振り向くと、そこには前髪センター分けでなんとなく眠そうな目の、えーっと確か、
「国見、くん？ どうしたの？」
記憶の中からなんとか探し出した名前を呼ぶ。
彼は頷くと、左手を差し出してきた。
よかった、あってたみたい。
「突き指したんで、テーピングしてほしくて」
「突き指？ 大丈夫？」
「まぁ、左手なんで」
「そっか。……んー、あんまり得意じゃないけどやってみるね」
お願いします、と私の前に体育座りした国見くん。
座っても大きい。さすがバレー部。
運動部男子にしてはほっそりしていて指の長い国見くんの手を取り、足の間に置いたテーピングの本を見ながら丁寧に巻いていく。
そんな私の手元をじっと見つめる国見くんの視線に気付き、恥ずかしくなって、作業をする手に慌てて意識を戻した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 574人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
殊梨(プロフ) - 冷凍庫さん» とっても嬉しいです、是非お願いしますm(._.)m (2019年10月3日 21時) (
レス) id: a11fe8d0dd (このIDを非表示/違反報告)
冷凍庫 - イメ画を描いてもいいですか？ (2019年10月2日 18時) (レス) id: 29ebb411a4 (このIDを非表示/違反報告)
殊梨(プロフ) - 黒伸☆〜(ゝ。∂)さん» 矢巾くんのポジション、どうするか凄く悩んだのでそう言っていただけてとても嬉しいです！ありがとうございます(_ _) (2019年8月29日 22時) (レス) id: 653275ba5c (このIDを非表示/違反報告)
黒伸☆〜(ゝ。∂)(プロフ) - コメント失礼します。主人公ちゃんとマッキーと矢巾んの三角関係が可愛くて大好きです！ああ！！3人とも幸せになれ！！と思いながら見てます！これからも頑張って下さい！ (2019年8月29日 20時) (レス) id: d24404e68a (このIDを非表示/違反報告)
殊梨(プロフ) - 声優LOVEさん» コメントありがとうございます！ わー嬉しいです(*/∀＼*)頑張りますね〜！ (2019年8月29日 19時) (レス) id: 653275ba5c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：殊梨 | 作成日時：2019年8月17日 23時
